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加入したいのに加入できない?保険の裏事情

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代理店の仕事は新規契約の獲得

保険と聞くと、営業マンや生保レディ(いわゆる生保のオバちゃんと呼ばれる方です)が「加入してよ~」「契約してくれないかな?」と一生懸命勧誘しているイメージがありませんか?そう、保険代理店の業務は、新規契約を獲得し続けなければならない仕事なのです。保有契約の対応も勿論必要ですが、今担当しているお客様がいつよその代理店に契約を切り替えするか分かりませんからね。引越し、身内が代理店を始めた、手続きでトラブルがあり疎遠になった、保険料が安いから通販にする等、切り替える要素はたくさんあります。今のお客様をキープしつつ、新しいお客様を獲得していく、それが代理店の基本的な営業スタイルです。しかし、代理店側が加入を勧めてお客様側が「じゃあ、加入するよ!」とGOサインを出しても、実際に保険に加入できない場合というのが存在します。今回は加入したいのに加入できない保険の具体例について説明します。

等級が低いけれど保険に加入したい

自動車保険は6等級(複数所有の場合は7等級)から始まり、その等級は最低1等級、最高20等級(共済は22等級)の間を事故の件数によって行き来するというのはご存知かと思います。保険会社にとってみれば、20等級の契約者は事故を起こすリスクが低いので、支払ってもらう保険料>支払う保険金となり契約単位で考えると黒字が期待できますので、優良なお客様と言えます。三井住友海上の自動車保険では、20等級かつ直近で事故が発生していなければ保険料を割り引くという「長期優良割引」が存在します。そんぽ24の自動車保険にも、同様の割引があります。20等級は、ただ割引率が高いだけではなく、保険会社によっては更に割引をしてくれるというメリットがあります。一方で1~2等級といった等級の低いの契約者は、保険会社にとってはあまり契約したくないという本音があります。1~2等級ということは、少なくとも2回以上事故を起こしているということ。いくら保険料を払ってもらっても、1度事故を起こせば保険金を支払わなければならず、支払ってもらう保険料<支払う保険金となる確率が高いので、これでは保険会社の儲けにはなりません。むしろマイナスです。勿論保険会社の使命は、事故で金銭的負担を強いられたお客様に保険金を迅速に支払うことです。しかし、保険金を支払う可能性の高い契約ばかりを集めてしまっては、保険会社が保険金に圧迫されて倒産しかねないので、リスクは極力避けなければいけないのです。このような時に保険会社が取る行動パターンは、いくつかあります。例えば①1年間だけ契約OKとするが事故があれば更新させない、②契約期間に制限は設けないが、契約できる補償を対人賠償と対物賠償のみとする(事故を起こしても第三者への賠償だけは確保し、自分の車両や怪我については自己責任とすること)、④車両免責10万円、対物免責5万円等可能な限り免責金額を設定する、⑤お断りする等が考えられます。通販系自動車保険は基本的に等級の低い契約者はお断りする方針なので、契約を希望しても取り付く島もないと思われます。可能性があるのは、代理店を通じて保険会社に交渉してもらうことですね。ただし、代理店も等級の低い契約者は保険料は高いけれど手数料は低いし事故対応に時間はとられるわ・・・で積極的に募集をしているわけではありません。自分の等級が低くて契約しにくく困っていると思っている方は、身内や親しい関係の人に保険代理店がいないかどうか探しておくと良いかもしれません。

事故をたくさん起こしたけれど保険に加入したい

では、等級が極端に低くなければ自動車保険は断られないのでしょうか?もしそのような質問があるとしたら、基本的には「はい」です。しかし、直近1~2年の間に事故を起こしているとなると、加入自体に問題はなくとも、契約内容に条件をつけられることがあります。例えば元々20等級で契約していたのに単独事故を起こしてしまい、翌年には他車と接触事故を起こしたとなると、安全運転の意識が欠如しているのでは?運転技術に問題があるのでは?と保険会社に受け止められるので、ハイリスクの契約と分類されます。こうなると14等級と割と高めの等級であっても、車両免責を0-10万円では契約できず、「5-10万円で契約して下さい」と言われることでしょう。2年連続の事故、あるいは1年に2回以上の事故を起こすと、このような条件をつけられる可能性が高くなりますので、更新の際はまず前年と同じ条件では更新できないだろうと思った方が良いです。一方で連続の事故であっても、1回目は当て逃げで、2回目は動物がいきなり飛び出してきて接触したというように契約者の運転技術ではカバーできないものが原因の事故の場合は、条件が緩和されるかもしれません。そこは要交渉となります。あまりに事故が多い、あるいは事故の回数は少ないものの支払い保険金が高額の場合は、車両保険は免責をつけるだけに留まらず、一般条件では契約できない、最悪の場合は車両保険を契約することすら認められないといった処置も有り得ます。場合によっては、それをきっかけに他社に切り替えをしようとする人もいるかもしれません。(他社は前の会社の事故の件数は把握できても、事故内容や支払い保険金までは把握できませんからね。)希望の条件で加入できないということは、誰の身にも起こりうることです。しかし、これは保険会社が意地悪をしているわけではなく、公平な保険料負担を求めるためには仕方の無いことですので、理解をして頂ければと思います。

高齢だけど保険に加入したい

高齢者の保険加入は、契約者本人が契約内容や重要事項をきちんと理解しないまま契約してしまい、事後でトラブルになるケースが散見されるそうです。よくあるトラブルとしては、契約者本人ではなく家族の方からの申し出ですね。「本人がきちんと理解していないのに契約させた」「○○については説明を聞いていないと言っている」「年寄りだから難しい説明をされても理解できるわけがない」等の不満の声が上がるのです。勿論代理店がきちんと説明したけれども契約者が忘れてしまっていることもあるでしょうし、代理店が無理に加入させたのではなく本人の希望で加入した保険もあることでしょう。しかし、何かと高齢者との契約(特に新規契約)はトラブルになりやすいので、保険会社によっては70歳以上の新規契約希望者には必ずその家族を同席させるようにする等対策をとっています。その同席者も配偶者だと契約者とほぼ同年代なので、できれば息子さんや娘さん等少し若い世代の方が好まれます。そうすれば同席した家族の方にも保険の内容が伝わりますし、代理店が強引に契約したと思われることもありません。また、仮に契約できたとしても、契約条件が希望通りにいかない場合もありますのでそこも注意して下さい。特に傷害保険は大変です。高齢になると、入院が長引いたり怪我が治りにくいといった傾向が強まります。保険会社にとって被保険者が高齢の傷害保険というのは、保険金支払いリスクの高い契約です。それを敢えて新規で加入しようと言うのですから、保険会社も対策として保険金額が低いものや、保険金の支払限度日数を少ないものを勧めてくる等の対策をしてくると思います。更新扱いでしたらそれまで契約してきた実績があるので、極端に厳しい条件をつけられることはないと思います。加入年齢が高くなる前に保険に加入しておくというのは保険料を安く済ませるだけではなく、希望通りの契約内容を手に入れることにも繋がりますので、早めに検討しておくのが良いでしょう。

最後に

保険に加入できないと聞くと、生命保険の加入前の告知書で引っかかることが頭に浮かぶ方が多いようです。しかし、損害保険でも上記のように加入できない、契約条件を指定される等の制限があります。どうしても希望の条件で加入したいのであれば、代理店に保険会社と交渉してもらう、自分で保険会社を探す等の手段をとって対応して下さい。