保険まっぷ

保険会社ではできないこと

約款は大事な資料

どのような保険金が支払われるのか、どのような事故が無責になるのか、は重要事項説明書や約款を見れば分かります。その中でも約款は字が細かいですし、楽しんで読むようなものでもないので興味のない人には眠くなるだけの読み物でしかないでしょう。しかし、保険会社の事故担当であっても最終的な判断は約款の内容に沿って行うので、約款は有無責を判断する貴重な資料なのです。しかし、逆に言えば有無責に関係ないことは約款には乗っていないということです。なので日常生活でお客様が「こんな時どこに問い合わせれば良いの?」「こんなことしてもらえるの?」と悩んだ時は、約款では役に立たない場合があります。今回は約款にも掲載されない保険会社では「できないこと」についてお話していきます。

未来の保険料を計算すること

保険会社でできないことの1つめは、未来の保険料を計算することです。保険料は改定されることあるため、せいぜい2~3か月先の保険料までしか計算することができないようシステムが組まれています。よって、例えば更新の半年前に来年の保険料がいくらになるか知りたい!と思っても、正確な保険料を計算することはできません。せいぜい「概算でこれくらいです」と答えられる程度です。これで面倒なのは、事故があった時です。自動車保険で保険を使えば、当然等級が下がります。3等級ダウン事故だと3年間等級の割引率が下がるうえに、事故有係数適用期間もプラスされるわけですから、翌年の差額保険料だけではなく、3年間分の差額保険料がいくらになるのかを含めて保険を使うかどうか考えないといけません。ぶっちゃけて言うと、1~2万円の損害額だったら、修理費を自己負担して、そのまま無事故で更新した方が結果的に安く上がります。しかし10万円前後とちょっと高くなると、自己負担した方が良いのか、保険を使った方が良いのか、悩んでしまいますよね。そこでタイトルの「未来の保険料を計算する」ことが必要になるのですが、前述の通りあくまで概算でしか計算できません。途中で保険料改定があるかもしれないし、そもそもお客様の車が変わる可能性だってありますし、計算の結果出てきた保険料はあくまで目安です。それを理解した上で、保険を使うのか使わないのかを決めなければなりません。これは技術が進歩したらできるようになるというわけでもないので、永遠に改善されることはないと思います。

日付の違う変更手続きをを同時に行うこと

では、保険会社ではできないことの2つめにいきます。自動車保険を例に上げます。普段は実家から離れて暮らしている大学生の子供が、夏休みの間(分かりやすく8月1日から31日までにしましょう)帰省し車を運転することになりました。そこで、親は子供が運転して事故が起こっても補償されるように、運転者限定を夫婦限定から家族限定に変えようと思います。では、正しい手続きはどちらか分かりますか?①8月1日から8月31日まで家族限定に変更する手続きの1回だけの手続き①8月1日から家族限定に変更し、8月31日に夫婦限定に戻す2回の手続き 答えは、②です。保険の実務では、期間限定の変更というのは出来ないのです。8月1日から満期まで家族限定に変更する手続きを行う→代理店が計上(契約内容変更を登録する手続きの事こと)する→8月31日から満期まで夫婦限定に変更する手続きを行う→代理店が計上する、で初めて1カ月間の変更が成立するのです。よって、面倒だから1度に手続きしたいと思っても、きちんとしたプロセスを経ないと正しい保険料は計算できないし、パソコンで書類も作れないし、で代理店も対応が出来ないのです。場合によっては、フリーダイヤルのコールセンターで受け付けてくれるので、代理店に会わずとも手続き出来ますが、それでも2回手続きすること自体は変わりません。最悪なのは、2回目の変更、すなわち契約内容を元に戻すことを忘れてしまうことですから、もし同じような状況に陥った時は注意して下さいね。同じ日付で車両入れ替えと住所変更と補償内容の変更を・・・となれば1度で手続きが済むのですがね。とにかく違う日付で変更手続きする場合は、守らなければいけない順番があることを知っておいて下さい。

保険料の引き落とし結果を知ること

保険会社ではできないことの3つめは、お金に関することです。毎月保険料の引き落とし日になると、お客様から「保険料が引き落としになっていないようだ」「朝一番で口座にお金を入れたんだけれども、大丈夫だろうか?」という問い合わせが来ます。結論から申し上げます。口座のことは銀行に聞いて下さい、です。まず以って保険会社は銀行の引き落とし結果をリアルタイムで分かるわけではありません。月末に引き落としになった保険料の引き落とし結果がわかるのは、翌月の5日~6日とか少し時間が経ってからなのです。また、保険料がどのタイミングで引き落としされるのかは金融機関のタイミングによるので、保険会社では預かり知らぬことです。朝と夕方に引き落としすることもあれば、残高があれば都度引き落としすることもあります。しかも他の公共料金等の請求と重なっている場合、優先順位があるようですから保険料が何番目に引き落としになるかなんてもっと分かりません。よって「記帳した結果保険料が引き落としになっていなかったので、どうしたら良いですか?」という質問には答えられますが、保険会社に請求の結果を聞くのは筋違いなのです。

古い契約の内容を確認すること

最後4つめは、過去の契約内容についてです。基本的に保険会社のシステムで閲覧できる契約は直近3~4年に契約したもの(保険期間が終了しているものも含む)、長期契約(10年~30年単位)で契約して今も有効期間内にあるものの主に2つです。それより古い契約は申込書のコピーだけを保管しているですとか、データを別のサーバーに移して管理しているですとか、破棄してしまっている等色々ありますが、とにかく通常業務で使用する頻度が少ないために別枠で管理されています。そもそも保険会社に契約データを永久的に保存する義務はないので、保険会社が任意で決めた保存年数で保存→時期が来れば破棄となります。2006年から契約内容の誤りを遡って訂正する是正対応の時は、原則保険会社にデータが残っている分について返還対象とし、契約者が申込書の控や証券等の客観的資料を保管しているならばそれも返還対象とするという方針でした。よって、今10年前に契約した自動車保険で安全装置割引が漏れているかもしれないから確認したい!と申し出ても、自分で資料を提出しなければならないので対応はしてもらえないと思います。

相談相手はよく選べ

以上保険会社ではできないことを紹介しました。ここで余談ですが、保険会社ではできないけれども、代理店ならばできることを1つ紹介します。それは同じ代理店で契約しているが、A社は自動車保険、B社は火災保険、C社は傷害保険と、保険会社を跨って契約している時ですね。各保険会社では自社で契約している分しか勿論内容を把握していませんが、代理店でしたら保険会社が異なっていても3社分の契約をまとめてみることができます。なぜなら、代理店には各保険会社のシステムが導入されたパソコンがあるからです。それを起動させればどの保険会社にどのような内容で加入していて、補償が重複していないか、保険金額は十分か否かが一目で分かるのです。保険会社に聞けば保険のことは何でも分かると思っている方がいると思います。しかし、それは自分の会社に関わることだけであって、他の保険会社が絡むと途端に分からないことが増えます。相談する相手を間違ってしまうと余計な手間を取られるかもしれませんよ?もし複数の保険に関わる相談事でしたら、代理店に問い合わせた方がスムーズに行くかもしれません。