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賠償責任と保険

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悪法もまた

「悪法もまた法なり」そういって法に従い毒をあおって死んだ賢人もいます。法律による社会の運営は大事なことではありますが、やはり人間のつくるものです。改訂を重ね、より善きものにという努力は積み重ねられていますが、不完全であることや、時に納得できない判決となることは、否定できないでしょう。

損害賠償責任と保険金の話も、法律上いろいろ不完全で、多くの人にとって納得しがたい判決が出されることとなっていました。現在は、2010年に保険法が施行され、この問題は解消されています。

今回管理人が、賠償責任と保険のことを思い出して筆をとったのは、イーデザイン損保が新たに被害者救済費用等補償特約を提供することになったたからです。

そもそも損害保険は、被保険者、保険を契約してくれている人が、損害賠償責任を負った際の損害を補てんすることを目的としています。だから経済的なメリットを享受するのは被保険者であって、交通事故の被害者のためのものではないのです。

イーデザイン損保が新たに被害者救済費用等補償特約は、事故を起こした保険契約者(加害者)に損害賠償責任がない時に、被害者救済のための補償を特約で付与するというものです。被保険者、保険を契約してくれている人が、損害賠償責任を負った際の損害を補てんすることから逸脱している特約になります。
今後の自動運転や、運転支援機能の不具合などを意識した特約なのでしょう。
このニュースで、管理人が、思ったのが、掲題の賠償責任と保険の話です。

賠償責任と保険

仮の話ですが、小さなバス会社が、貸し切りで乗客50人を乗せて高速道路で大事故を起こし全員死亡。
さすがに小さなバス会社でも普通に自動車保険は加入していました。
遺族への補償には問題がないように思えます。
ですが、事故によって、この小さなバス会社は信用を失いすぐに倒産となってしまいました。
こうなりますと、2010年施行の保険法の前だと、話が変わります。破産手続きの開始となると、賠償保険金は、事故の被害者、遺族に優先的に支払われなくなります。他の債権者と同列で、破産者の財産は、全債権者のために破産管財人が管理し、平等に分配されていました。

賠償責任保険というのは、被保険者が損害賠償のリスクを回避するためのもので、自動車事故などの被害者救済は、結果としての利益にすぎない。本来の保険の目的ではなく。保険金も被保険者の財産である以上、破産手続きに従って公平に分配する。・・・というのが、当時の法律の解釈だったとのことです。

死んでしまった人の遺族が賠償保険金をもらうのではなく、他の売掛金なビジネス上の不利益を蒙った債権者たちの配当を増やすために使われてしまうことになっていたのです。

「悪法もまた法なり」
法律は不完全であることは免れませんが、改訂して少しづつでもよくしていくことはできます。
2010年施行された保険法によって、先取特権が盛り込まれました。絶対的強行規定ですから、すべての賠償責任保険契約において被害者には優先的に弁済を受けることができます。

そもそもの損害保険は、被保険者が、損害賠償責任を負った際の損害を補てんすることを目的としていたのですが、今日的には、被害者保護という考え方も、積極的に認めていくべき時代なのかもしれません。
イーデザイン損保が新たに被害者救済費用等補償特約など、被保険者に賠償責任がないのに、被害者を救済する特約。従来の損害保険の範疇を越えてきているでしょうし。そういう保障の仕掛けがないと、自動運転などは、普及が難しいのかもしれませんね