ニュージーランドに国民健康保険はありません
医療保険に関することで、日本とニュージーランドの大きな違いは、ニュージーランドには、日本のような国民健康保険も社会保険もないということだと私は思っています。
「えっ?じゃあ、お金のない弱い立場の人は病気になったら野垂れ死になの?」というご質問もあるかもしれません。
それに関しての答えは「いえいえ、ニュージーランドは弱い者に非常に寛大な福祉国家なのでそんなことはないんですよー。」ってことです。
なんて素敵な慈悲深い国!ニュージーランド!
でも、余談ですが、これには弊害があって、あまりにも保護されることが当然の国民の権利になっていて、苦境を努力とハードワークで自分で切り開くという人が少なく、「働かないで楽しちゃおう!」って甘い考えの怠け者も増えてしまうということがあります。
医療費は基本無料です
国民健康保険も社会保険もないということで医療費は基本無料となっております。
なので、「今、手術しないと死んでしまう!」という状況ならば、優先的に無料で手術してもらえます。
しかし、ここには落とし穴があります。
医療費が無料なのは、国公立の病院です。
そうそう、何個もゴロゴロしていないのが、国公立の病院です。
今、手術しなくても、死なないという場合は、病院で手術をする順番待ちのリストに入ります。
残念ながら、その時は緊急じゃなかったのに、待っている間に、病気が悪化してしまうということがあるのは問題になっているようです。
それから、病院で、患者の疾患が手術を受けるほどでないだろうと判断された場合は、順番待ちリストに入れてもらえないというケースもあるようです。
医療費が無料といっても病状によっては、安心できないということになります。
ニュージーランドでは病院は紹介制
ニュージーランドで手術が必要な場合、国公立病院であれば無料とお知らせしました。
しかし、「私は手術が必要なんです、無料でお願いします!」と国公立病院のドアを叩くことはできません。
体に病気を感じたり、怪我した時は、まずはGP(General Practitioner)に行かねばなりません。
GPとは、怪我やら、風邪やら、痔やら、その他もろもろの体の疾患を処置してくれる自分の主治医のようなものです。
大抵はGPで体の不調は治ります。
しかし、大きな病院やその疾患の専門医にかからなければならないとGPが判断したならば、病院への紹介状がだされ、そこで初めて、大きな病院に行けることになります。
ちなみに、このGPにかかるのは無料ではありません。
GPによっても違うようですが、私のGPは一回の診察にだいたい50ドル(4、5千円)程度かかります。
GPの診察料が高いと感じてしまう私は、風邪程度なら、寝て治そうと思ってしまいます。
しかーし、福祉国家、ニュージーランド、お給料が安いとか生活が苦しいとか「ない袖は振れない人」には、「コミュニティーカード」なるものをくれます。
GPの料金も水泳のレッスンも・・・いろんなところで、この水戸黄門の印籠のような「コミュニティーカード」を出すと料金を安くしてもらえます。
ニュージーランドで怪我をした場合
ニュージーランドで、事故で怪我をした時は、「ACC」(Accident Compensation Corporation)という政府の機関が治療費の一部や補償金を負担してくれます。
これは国民や永住権保持者だけでなくて、旅行者にも適用されます。
スキーをしにニュージーランドに来た日本人旅行者も怪我をしてACCに払ってもらったなんて経験のある人もいるのではないかと思います。
私がフィージー旅行中に肉離れを起こした時に、舅がふざけて、「その足、ニュージーランドの空港でやっちゃったんだよね?」と聞いてきました。
そうするとACCが払ってくれるというジョークです。
ちなみに、私の肉離れはネットで治療法を調べ、自分の治癒力で完治しました!
そして、処方箋をGPに出してもらうとお薬は自分で市販の薬を買うよりも安くなるのがほとんどです。
NZでは保険会社の医療保険に加入するべき?
「病気の際、国公立の病院が無料で、事故による怪我もACCがほとんど負担してくれるならば、ニュージーランドで医療保険に入る意味はあるの?」と思う人もいますよね。
これに対する答えは人によって違います。
我が家のように滅多にGPにも行かないような家族の場合、プライベートの保険会社に保険料をただ支払っているだけというのが現状です。
「だったら、医療保険に入らなくてもいいや。万が一の時は、国が助けてくれる。」という選択もありです。
もし、私が明日のパン代にも困窮しているようであれば、プライベートの保険会社の医療保険には入らないと思います。
でも、医療保険を払っても暮らしていけるならば、やっぱり医療保険には入っておいた方が絶対いいというのが私の意見です。
医療保険に加入したほうがいい理由
NZでは病院にかかるにはGPの紹介が必要です。
しかし、無料の国公立の病院だと手術や処置に順番待ちがあります。
まだ、命の別状はないだろうと病院が判断したら、待たされることになります。
時には、GPの判断を却下して、病院で処置の必要がないという場合もあり、そんな時には順番待ちにさえ入れてもらえないことがあるようです。
でも、病気って進行したり、悪化したりってありますよね。
それを気づかずに順番を待っている間にどんどん手の施しようがなくなるという場合もあるでしょう。
それから、命に別状はなくても、自分の疾患を早く処置して欲しいとも誰もが思いますよね。
こんな時に、医療保険に入っていた場合は、私立のきれいな病院でステキなお食事つきの個室入院で、自分のお願いしたい名医に手術をお願いすることもできます。
お金は保険会社が支払ってくれます。
私の家族は、まだ医療保険で病院に入院するって体験はしていませんが、姑が何度か、膝の手術などをしています。
素敵なホテルに泊まりにいくような感覚で姑が楽しそうにスーツケースに入院荷物をまとめていたのを見ました。
姑も手術大好き!とは思っていませんが、膝の痛みを抱えて病院の順番待ちではなくて、思い立ってすぐに体の不調な部分を処置してもらえるのはよかったと思っていたことでしょう。
これらが私がNZで医療保険に入れるならば入っていた方がいいと思う理由です。
我が家で医療保険が役に立った時
民間の保険会社に長年医療保険を払い続けている我が家です。
ちなみに、夫婦と子供が3人で年間、日本円にして30万円ほど医療保険に支払っています。
こちらは、手術とか専門の医者にかかった場合なので、普段、「風邪ひいた」とか、「なんか発疹が出てる!」とか、「痔になっちゃった!てへっ。」って場合はGPに行くのでその場合は保険は出ません。
日本は健康保険や社会保険があっていいなあ。
と歯医者やGPに行くといつも思います。
でも、思ったのですが、地域にもよると思いますが、日本では、国民健康保険や社会保険料も給料によっては非常に高くなる場合があるそうですね。
「東京23区の場合、国民健康保険料の年間上限金額は890,000円」という記述を見つけてしまいました。
そう考えると、我が家の家族で年間30万円ほどの保険料だったらそんなに悪くないかなあと思っています。
今まで、うちの保険が適用されたのは、長男のあごのジョイントの検査、娘の足の検査です。
どちらも生死にかかわることではないので、もしも国公立病院の順番待ちなんてことになれば、いつまでたっても呼ばれないだろうと思われます。
それからニアミスとして、次男が生まれる前に内反足という診断をされました。
本当に足が曲がって生まれてきたので、これから長い時間かけて治療ということになり、スペシャリストにかかることになりました。
何十年も保険から治療費や手術費がでる予定だったのですが・・・。
結果は内反足ではなく、ギブスで1週間で治っちゃいました。
医者もこんなことは初めてとのこと。
結果、保険は最初の2回程度の処置にだけ払われました。
そして、最近私が差し歯を交換することになったのですが、もしも、今後、その歯に根幹治療が必要になったら、歯茎を切って処置するそうです。
その際には、保険が適用されるとのこと。
(歯医者に保険は使えませんが、歯茎を切るのは使えるそうです。)
我が家では医療保険は今のところ、払い損って感じです。
しかし、未来の安全を約束されつつ、毎日、何事もなく過ごせるというのは幸せなことだと思います。
ニュージーランドでお産
日本で出産する場合、「出産は病気じゃないので、女性特約がないと、帝王切開は保険がおりない」と聞きました。
しかし、ここは福祉国家ニュージーランド、出産は帝王切開だろうが自然分娩だろうが、無痛分娩だろうが、通常無料なのです。
助産婦が妊娠、出産、産後の世話をしてくれます。
そして、緊急な場合のみ当番の医師が出てくるということになります。
そう、保険に入っていなくても大丈夫。
お金のない人だって、ティーンだって(って、ちょっとまずいですよね・・・)バンバン無料で子供が産めちゃう。
ちなみに、少子化の日本と違い、ニュージーランドは年々出産率は上り調子です。
子供がどんどん増えています。
、
もちろん、子供が増加している理由には女性の権利がすごく守られているということもあげられます。
保育園に入れないってこともないですし、しかも保育園は週に20時間は無料です。
お母さんが働いていても働いていなくてもです。
あと、所得によりますが、子供がいればいるだけファミリーアシスタンスと言って毎週国からお金がもらえます。
子だくさんで働かなくてもいい夫婦の記事を週刊誌で読んだこともあります・・・。
ところで、こんなお産が無料の国で、私は2番目と3番目の子供にはお産にお金を使いました。
こちらも日本と同様、出産は保険に入ってても費用をだしてもらえません。
通常はみんな無料で出産なので、そんなことはどうでもいいんですが・・・。
なぜ、私が出産にお金を払ったかというと、自分で医者を選んだからです。
通常のお産は助産婦だけで緊急になるとその時、病院にいる産婦人科の医者がやってきます。
実は、私は初めての出産でもうちょっとで、長男を失うほどの難産だったのです。
最終的に自然分娩で生まれましたが、長男が仮死状態でした。
なんとか命もとりとめたのですが、無酸素の時間が長かったので、1年間ずっと脳や身体の機能のチェックをしました。
ちなみに出産に関するアフターケアのこれら全部無料でした。
結果的には無料のお産でも帝王切開もしてくれるし、なんとかなるのだろうけど、やっぱり、最初から医者についててもらわないと不安と思ったのです。
それから、やっぱり、手術や処置の上手なお医者さんについててもらいたいと思いました。
そういうふうに、自分で医者を選ぶとお金がかかるのです。
出産に関しては保険は全く役に立たないのはニュージーランドも日本と同じでしたね。