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保険に加入しているのに補償されない!?

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勘違いしていませんか?

自動車保険、火災保険、生命保険、保険と呼ばれるものは「加入してしまえば補償してくれるので安心」と思いがちです。実際に有事の際には保険金を支払ってくれますから、確かに安心できるものではありますが、注意して頂きたいことがあります。それは、保険は何でもかんでも補償してくれるものではないということです。保険用語では「免責」と言います。免責とは、保険会社が保険金を支払う責任を免れることです。(説明を分かりやすくするために、顧客に対しては敢えてこの言葉を使っていない保険会社の社員もいます)保険を契約すると、必ず保険約款というものが交付されます。現在はインターネット上でも閲覧可能なため所持している人はあまりいないかもしれませんが、細かい字で保険金を支払う場合や支払わない場合等が細かく書かれている冊子です。保険会社の事故受付担当は、約款を参考に保険金の支払い可否を判断します。よって、顧客側から「車が壊れたから保険金を支払って」「病気になったから入院費を請求する」と言われても、約款上それが免責に該当するものであれば、保険金を支払わないのです。今回はその免責について、最もポピュラーな自動車保険を例にどのような事故が保険金支払い対象外になるのかを一緒に確認してみましょう。

故意の事故は免責

そもそも自動車保険とは、偶然な事故で車両が故障したり人が怪我をした場合に、保険金を支払うものです。よって、保険金目当てでわざと事故を起こしたような場合は当然ながら免責になります。自分で自分の車をわざわざ壊す人なんているの?と思うかもしれませんが、車が車両保険金額が20~30万円程度の安めの車で、いい加減買い替えたいからといってわざと単独事故を起こしたような人も実際いるんですよね。相手がある事故であれば事故の日時やその時の状況は双方から事情聴取できるので、不自然な点があればすぐに見抜くことができるのですが、単独事故であれば運転手本人からではないと事情を聞けないので、事実関係を把握するのが難しくなります。保険会社は警察ではありませんから、事故現場の周辺を聞き込みするわけにもいきませんしね。(仮に聞き込みできたとしても、夜中に発生した事故だと言われれば、有力な目撃証言は期待できません)しかし、保険会社が事故対応していく中で「怪しい」と思う点があれば、アジャスターが細かく調査をしていきます。アジャスターとは、自動車事故が原因で故障した車の損害額を査定したり、事故の原因を詳しく調査するいわば車の事故の専門家です。彼らは車両の傷やぶつかったものの傷を調べて、「この傷がつくには時速○キロのスピードで走行しているはずだ」といった分析を行います。わざと事故を起こす時には、車だけが壊れて自分は安全なようにと自分が怪我をしない絶妙な速度でぶつかっていく人もいるようで、そのような不自然な点がないかどうかを調査していき、証拠を固めながら最終的に故意か偶然かどうかを見抜くのだそうですよ。アジャスターは保険会社の社員と同じフロアに在籍しているものの、その所属は別会社になるため、保険会社とグルになって1円でも支払う保険減らそうと働いているわけではありません。保険会社、契約者、双方から独立した中立の立場で損害額を見抜いていきます。故意かどうかを見抜くのも、アジャスターの大切な仕事の1つと言えるでしょう。いずれにせよ素人が故意に起こした事故なぞ、相手に見抜かれると思って間違いありません。間違いでも故意で事故を起こすことのないようにして下さい。やったところで、何も良い結果は生まれません。

飲酒運転はどうなるのか?

飲酒運転に対する罰則は厳しいものですが、それでも「バレなければ大丈夫」「少しくらいなら大丈夫」と思って飲んでから運転している人もいるようですね。いまだに、酒気帯び運転や飲酒運転による逮捕のニュースを見ることがあります。飲酒運転による事故の場合は、壊れたもの、怪我した人が誰かによって免責かどうか変わってきます。飲酒運転の場合、基本的に他人のものや他人の身体の損害というものは、保険金が支払われます。飲酒運転は対人賠償、対物賠償や免責ではないのです。被害者側にしてみれば飲酒運転の事故に巻き込まれた形になるわけであり、それは偶然に発生した事故であることから被害者に責任を問うものではないため、飲酒運転の加害者が加入する自動車保険の補償内容で保険金が支払われます。しかし、車両保険や人身傷害といった飲酒運転の当人のもの、身体の損害については免責となります。要するに自己責任ですね。私が現役だった時には、最初飲酒運転を隠して事故報告をしてきたものの、その後飲酒運転であったことが警察経由で発覚し、単独事故の補償をしてもらえなかったという事故がありました。バレなければ保険金を支払ってもらえると思ったんでしょうね。これは保険金詐欺にも該当する不正行為です。契約者が飲酒を隠していたからといって即警察に通報するようなことはありませんが(私が勤務していた会社では通報していなかっただけで、他社では通報していたのかもしれませんが)、1度そのような事実があると2回目以降に事故報告があった際には疑いの眼差しを向けられること間違い無しです。

もらい事故と弁護士費用特約

保険会社や代理店がこぞって勧めるのが、弁護士費用特約です。年間約2000円程度で、事故で相手に損害賠償を求めるような状況に陥った場合、それに係る弁護士費用を保険金から支払ってくれるものです。相場は300万円が多いです。口数で入る特約ではないので、自分はお金を倍出すから補償を倍の600万円にしてくれ!と加入するタイプのものではありません。もし補償を手厚くしたいのであれば、家族全員の車にこの特約をつけるべきですね。最もこの弁護士費用特約、保険料の節約の観点から1家に1契約だけで良い!と勧める人もいます。何を重要視するかは人それぞれですね。では、弁護士費用特約と免責の話に移ります。お互いに過失が認められる事故では保険会社が示談代行をしてくれますので、保険会社に丸投げしてしてもいずれ事故は解決します。しかし、停車中にぶつけられた、センターラインをオーバーした車にぶつけられた、といった被害者側に過失のないいわゆるもらい事故は、保険会社は示談代行できません。弁護士法の規定で決まっているからであり、決して保険会社がやりたくないわけではありません。被害者は加害者に対して修理費を払え、治療費を払えと自ら交渉の場に立たなければいけなくなります。こんな時相手が良識ある人だと良いのですが、お金を払いたくない一心で逃げたり真面目に交渉してくれない人もいるわけです。このような時に弁護士費用特約があれば、被害者は弁護士に依頼して賠償請求してもらえるわけです。このルールをしらなかったために、「何で保険会社は交渉してくれないんだ」と怒ってみたり、「お願いだから加害者にお金を払うよう言って下さい」とお願いしてみたりとどうにか保険会社を動かそうとする人がいます。気持ちは分からないでもないですが、無理なものは無理です。勝手に交渉を進めれば、ルール違反で逆に保険会社が危うい立場になります。というわけで、私は自分自身の契約に弁護士費用特約をつけていますし、身内にもそれを加入させています。皆さんも全て事故があれば保険会社にやってもらおうと思わないようにして下さい。

保険は万能ではない

自動車保険のパンフレットには、必ず保険金が支払われるもの、支払われないものの例が載っています。そのパンフレットを読みもせず、保険料を支払っていればどうにかしてもらえるだろうと考えるのは、保険を高く評価しすぎです。保険にもできることとできないことがあります。それを理解しておくと、プラン選びの際も代理店に丸投げせず、自分に相応しい補償プランを選ぶことができるでしょう。