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乗合代理店か?専属代理店か?

代理店の種類

ほけんの窓口のCMを見たことがあるでしょうか?その際、「約50の保険会社の商品の中から貴方にぴったりの保険を紹介します」と宣伝しているのを聞いた覚えはありませんか?ほけんの窓口のように、複数の保険会社の商品を販売できる代理店を「乗合代理店」と言います。販売できる保険が多いということは、その代理店が複数の保険会社と業務委託契約を交わしていることを意味しています。それに対して、1社のみしか保険を販売できない代理店を「専属代理店」と言います。保険会社に直接雇用されている営業マンや生保レディを思い浮かべると分かりやすいでしょうか。彼らは乗合か専属で言えば、専属代理店に分類されます。貴方が保険に加入する時は、どちらの代理店で加入したいですか?今回は乗合代理店、専属代理店のそれぞれの特徴、メリット、デメリット等についてお話しします。

乗合代理店のメリット~お客様に提供できる情報の多さ~

複数の保険を販売できるということは、自動車保険1つを例にとってみても「A社のこの特約がおすすめですよ」「補償内容は同じなのにB社で契約すると保険料が安いですよ」等お客様にたくさんの情報提供ができます。色々吟味して納得のいく保険選びがしたいと考えているお客様にとっては、乗合代理店の方が向いています。また生命保険であっても、会社ごとに引き受け基準が異なりますから、C社では加入できないけれどもD社なら加入できそう等結果は変わって来ます。せっかく保険に加入したいと申し出てくれたお客様をみすみす逃さないためにも、保険会社はたくさんあった方が商談には有利ですし、成約率も高いでしょう。通院中や妊娠中といった特別な事情があるような人は特に乗合代理店の方がおすすめです。何せ専属代理店よりも、成約できる可能性がグッと上がるからです。ただし、複数の保険会社の商品を紹介できるということは、それだけ幅広い知識が求められます。他の保険会社の商品の保障や特徴を勘違いして説明されたとしても、お客様は「プロが言うことだから正しいだろう」と疑うこともしません。しかしそれが後々保険金支払いに関わるような重大なことだとしたら、トラブルになることは避けられません。取り扱っている保険会社が多ければ多いほど、募集人には説明義務を果たす責任も大きくなると言えるでしょう。

専属代理店のメリット~高度な専門性を身につけられる~

専属代理店とは先に述べたように、1社とのみ委託契約をしている代理店です。1社といっても、損保と生保の両方の商品を扱うとなれば、損保は損保ジャパン日本興亜、生保は損保ジャパン日本興亜ひまわり生命となるので、厳密にいうと1社ではないのですが、とにかく生損保で各1社ずつ販売しているとなればそれが専属代理店です。専属化乗合を判断するには、代理店HPを見るのも良いですが、担当者の名刺をもらうと大体そこに販売可能な保険会社の名称が記されていますからそこで判断しましょう。余談ですが、保険会社から「この代理店は当社(保険会社)がおすすめする優秀な代理店です」とお墨付きをもらっている場合は、事務所内に掲示物があったり、名刺にマークが描かれていたりするので、それもチェックしてみましょう。専属代理店は他社の保険を販売しない代わりに、販売している会社の商品については特徴、事故の対応方法、事務手続き等あらゆる面に精通しています。商品説明も、いつも同じようなことを話しているから慣れたものです。繰り返し販売し続けていることで、専門性が身についているのです。複数の会社と乗り合うと、その分商品を比較したり保険料を計算したりで作業を効率的に進めることが出来ません。あまり悩みたくない、即決したいという方には専属代理店の方が向いているかもしれません。

なぜ代理店は乗合を選ぶのか

乗合代理店のメリットは、お客様への情報提供以外にもあります。例えば契約している保険会社自体が販売停止や倒産といった事態に巻き込まれた時、専属であれば自分達の生活や給料に響いてきます。保険会社の都合とはいえ、何せ保険を販売できないのですから、手数料収入がなくなってしまうのです。実際私が現役だった時、とある国内損保会社が金融庁から業務停止命令を出されてしまい、新規契約の販売ができなくなったことがありました。(更新契約や変更手続きはOK)その際には代理店は他の保険会社と業務委託契約をしようと動きましたし、保険会社からも「これを機に是非我が社と乗り合ってほしい」とアプローチをしかけたものです。(基本的にどの保険会社と乗り合うかは代理店の自由ですから、よっぽどの特別な事情がない限り乗合を止めさせられるといったことはありません)乗合代理店で分かりやすいのは、ディーラーです。ディーラーは基本的に複数の保険会社と乗合しており、駅前店ではX社の自動車保険を、川沿店ではY社の自動車保険をメインに売る・・・といったような仕組みをとっています。保険会社の営業担当は、ディーラー店舗に対して販売支援や教育を行い、保険の実績を上げることです。例えばその結果X社の自動車保険の実績がものすごくあがったとしましょう。そうするとディーラー側は川沿店でもX社の保険を売らせよう、と決めるわけです。販売してくれるディーラーが1店舗増えるということは、保険会社に取ってみればディーラーの信用を勝ち取ったことにも繋がるし、保険の実績も増えるし、まさに良いことづくし。一方で店舗を取られた立場のY社はこれを挽回すべく動く・・・こんなことが日々現場では繰り返されています。何はともあれ選択肢が多いほうが、販売する側も代替策が取りやすいですからね。主にこのような理由で乗合を選ぶ代理店が多いと考えられます。

なぜ代理店は専属を選ぶのか

専属代理店は、保険会社にとっては有り難い存在です。何せそこの代理店で獲得した新規契約は全てその保険会社の契約となるわけですからね。専属代理店は、代理店手数料の計算の際少し優遇されます。何が優遇されるかというと、ぶっちゃけ金額です。保険料の10%~20%くらいが代理店手数料なのですが、同じ条件の自動車保険1件なら、兼業より専業代理店の方が手数料が高くなります。手数料の計算過程で、専属代理店ならではのポイント加算のようなものがあると考えて頂けると分かりやすいでしょうか?専属だと、乗合のようにお客様に手を変え品を変え・・・といったような色々な商品を紹介することはできません。よって、保険料ではなく品質で勝負。いかに自分が勧めている商品が素晴らしいか、事故の時にどのようなサポートがあるか等営業トークが炸裂します。常に販売している商品のことなので、他社の商品の説明と混同したりなんていうミスもありません。長く付き合いのあるお客様であれば、保険会社がどこというよりは、代理店さんや募集人さんを信用して加入する!という方も多いので、専属だろうが乗合だろうが、他社の商品と比較できなかろうが、そんなこと関係ないわ~という人もいるんですよね。正直色々な保険会社と乗り合ってしまうと、それぞれの保険会社と打ち合わせしたり、商品勉強会に参加させられたり、事務ルールが違うから書類のミスをしたり・・・と弊害も多いのです。専業だとそれらにかかる時間を効率化できるので、その分自分の知識を高めたり新規開拓に力を注いだりと有効活用できます。

最後に

今回の記事内容は保険会社、代理店によって制度や方針が違うので、これが必ずしも全てではありませんし、正解というわけでもありません。また、代理店手数料についても、兼業代理店の取扱件数や規模が大きいと計算方法がまた変わってくるので、専属代理店の方が絶対高いと言い切れない場合もあります。あくまで1つの考え方ということでご理解下さい。