自動車保険の契約内容が間違っていた!こんな時どうする?
契約書類を確認したが・・・
自動車保険の申込書には、大きく分けて3つの情報が記載されます。当然ながら自動車保険ですので、車に関する情報ですね。車体番号、登録番号、初度登録年月、型式、車名、車検満了日、走行距離、このあたりが一般的に必要な情報です。2つめは、契約に関する情報です。車両保険の金額、車両保険の条件、人身傷害の補償金額、その他の補償の金額や特約の有無、年齢条件等もこの中に含まれます。そして3つめは、契約者や被保険者といった人に関る情報です。近年の自動車保険は被保険者の年齢や所有する運転免許証の色でリスクを細分化し保険料を細かく計算しますから、生年月日や免許証の情報(色や有効年月等)が必要です。勿論住所や電話番号、場合によっては勤務先や職員コード(団体扱いの場合は、団体扱いで加入できないのに無理矢理加入しようとしてくる悪質な契約を防ぐために、あえて記載するよう促している団体があるのです。職員コードが言えないから職員ではない→当然、団体扱いでは加入できない→団体割引が適用できません、という流れです)も契約の際に必要な情報です。基本的にはお客様と代理店が双方で申込書の内容を確認し、間違いがないと判断してから捺印もしくはサインをして契約成立ということになるのですが・・・実は、自動車保険の契約というのは契約後に間違いが発覚し、後で訂正するということが多いのです。保険の契約に訂正?なんてきくと、保険の契約が厳密ではないものに思われそうですが、自動車保険を販売したことのある代理店や従業員の誰しもがこれを経験したことがある程メジャーな作業です。では、訂正しなければいけない間違いとはどんなものなのか?間違いに気付いた時はどうすれば良いのか?今回は、自動車保険の契約内容の訂正方法についてお話しします。
単純なインプットミス
申込書の内容は間違えずに作成されることが望ましいですが、入力するのは人間ですからどうしてもミスはあります。単純なインプットミスとして多いのが、車体番号の入力や電話番号といった英数字の単純な羅列が続くものですね。アルファベットを1つ飛ばしてしまったですとか、電話番号の数字の3と6が打ち間違えになっているとか、保険の契約ではなくてもちょっと間違えてしまいそうなものですよね。他にも、他社から切り替えた契約で、前契約の証券番号の入力が間違っているなんていうのもありました。このようなインプットミスは、代理店に契約の訂正という手続き書類を作成してもらい、それに捺印もしくはサインをして終わりです。特段難しいことはありません。強いていうなら1度発行されてしまった保険証券には違う内容が記載されていますので、新しい証券を発行してほしかったら再発行を依頼すれば良いですし、わざわざ新しくなくても・・・と思ったら変更手続き完了の通知と証券を一緒に所持していれば良いだけの話です。ちなみに、変更手続きや証券の再発行に一切お金はかかりません。
始期前に引越しした
新車購入でもない限り、保険契約を始期当日にするという人はあまりいません。更新でしたらほとんどが1ヶ月~2ヶ月前の早期に更新手続きを済ませる様、代理店が働きかけをしているからです。しかし、あまりに早く更新手続きをしてしまうと、手続き後に引越ししてしまい、始期が始まる頃には全く別の住所に住んでいる・・・なんてことも有り得ない話ではありません。では、ここでクイズです。3月1日満期の自動車保険で、1月1日に更新手続きをしました。そして2月1日に引越しをしました。さて、この契約の住所変更日はいつが正しいでしょうか?答えは3月1日です。引越しという事実が発生した2月1日と思った方、残念。新しい契約は3月1日始期なので、その日より前の日付で住所を変えるというのは保険契約上有り得ない日付なのです。もし2月1日で手続きするなら、更新する前の契約です。よって、これも訂正扱いになります。携帯電話で連絡が取れるし、わざわざ住所変更なんてしなくてもいいや、と思っている人が結構いるようですが、保険会社からの重要なお知らせは更に翌年の満期のお知らせを確実に届けるためには住所変更をしていないと不利益を被ることになりますので、住所変更は確実に行いましょう。保険会社が設置しているコールセンターにかけると、その電話1本だけで書類を交わさずに変更手続きをしてくれる会社もありますよ。
始期前に事故を起こした
早期更新ならではの弊害がもう1つ。それが、始期前に事故を起こしてしまった時ですね。事故を起こしたけど保険は使いません!と決まっているなら何もする必要はありませんが、保険で対応するとなると、既に更新してしまった契約の等級、事故有係数適用期間を変えなければいけません。そうなると保険料も変わってきます。もっと面倒なのは車の情報が変わる場合です。事故で別の車に乗り換えるのであれば、現在の契約の車両入れ替えと同時に、更新契約の車の情報を変更しなければなりません。事故で車を廃車にしてしばらく乗らないというのであれば、現在の契約を解約し、【等級が高ければ中断証明書も発行し)、既に更新した契約はキャンセル(取り消し)してもらわなければなりません。インプットミスや住所変更はお金の動きには関らない手続きですので、正直簡単に済みます。しかし、こちらの手続きは保険料が変動するため、また代理店がプランを練って契約者とすりあわせをしなければならず、時間がとられます。このケースは意外とよくあるので、もしかしたら読者の中にも経験された方がいるのではないでしょうか?
前の契約の解約をしていなかった
他の保険会社(A社)から切り替えて別の保険会社(B社)にした、という時に多いのがこの間違いです。B社で契約したからといって、A社の契約が自動的に解約されるわけではありません。A社の契約を解約すると、きちんと契約者が申し出て手続きする必要があります。それを怠らないようにと代理店が説明しているはずなのに忘れている人が多く、契約して1ヶ月経ってから二重契約が発覚・・・というのがよくあります。発覚する経緯は契約者の口座からお金が引き出されていたことによって気付くこともありますが、保険会社の情報交換制度で分かることの方が多いです。情報交換制度は、デメリット等級の契約者が低い等級で契約するのが嫌だからといって別の保険会社に乗り換えて6等級で契約していないかどうか等等級の不正使用を把握するために設けられている制度ですが、1つの車に複数の契約が付保されているのも把握することができます。では、また3月1日始期の保険を例に挙げてみます。B社では3月1日から契約が開始しているが、契約者がA社の契約をまだ解約していない。二重契約が発覚したのが4月1日だった場合、原則保険会社は解約日を遡って受け付けることはしないので、A社の解約日は4月1日以降となる。よって、B社の契約は始期が3月1日から4月1日にずれることとなる。このような流れで始期日自体を後ろにずらすという作業をすることになるのですが、私が勤務していた会社ではこのような場合3月1日始期の契約をキャンセルし、新たに4月1日始期の契約申込書を作成するというのがルールでした。ただし、始期が1ヶ月ずれたことによって、その合間に保険改定等があると、つけたかった特約がつけれなくなるということもあります。また、保険は始期月によって微妙に保険料に差が出るので、改定もないのに微妙に保険料が違うなんてこともあります。
訂正はできるけれど
いずれにせよ、自動車保険の内容に間違いがあっても修正できるような事務ルールになっています。しかし、誤りの内容によって手続きの煩雑さは変わってきますし、訂正できるからといって間違ってもいいというわけではないので、そのあたりは誤解なさらないでくださいね。