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代理店と保険会社の関係って?

ビジネスパートナー

保険会社は代理店に保険を販売することを委託しており、代理店と契約者が書類を交わした時点で契約が成立することを「代理」と言います。これは、主に損保で見られる契約行為です。一方で代理店と契約者が書類を交わした後、代理店が保険会社に書類を提出し、保険会社が引き受けるかどうかを審議することを「媒介」と言います。これは、主に生保で見られる契約行為です。生保に加入する時に、申込書や告知書と一緒に健康診断の結果や人間ドックの結果等参考資料を出したことがある人はご存知かもしれません。代理店が持ってきた書類を見て、通常の保険料で加入させるか、割増保険料をもらうか、あるいは加入を断るか、決定権は保険会社にあります。代理店は決して保険会社のために営業活動をしているわけではなく、お客様の安全・安心、また自社の発展のために営業活動をしています。そして保険会社もまたより多くの代理店さんに自社の保険を販売しているために、営業活動や商品勉強会、または事務手続き等を行っています。代理店と保険会社の間には、どちらが上でどちらが下という上下関係はありません。双方の発展のために協力する、いわばビジネスパートナーです。では、そんなパートナーである代理店と保険会社は日々どのような活動をしているのでしょうか?今回は代理店と保険会社が定期的に行っているミーティングや営業活動の内容に触れていきたいと思います。

実績の管理

代理店の収入は、獲得した保険料に応じて得られる代理店手数料です。基本的には年度初めに「代理店手数料がどの程度欲しいか」「そのためには、どのくらいの契約数が必要か」を保険会社と代理店の間ですりあわせます。代理店の実績は、挙績をベースに管理します。挙績とは、一定期間内に獲得した保険料の合計から、解約や変更等のマイナス分を差し引いたもののことを言います。1ヶ月の間に、新規の自動車保険1件10万円を獲得し、その一方で他の自動車保険が解約となり解約返戻金が2万円発生したとすれば、その月の挙績は8万円となるわけです。実際には何十件もの新規、更新、解約、変更がありますから、数字の内訳はもっと複雑になります。それを保険会社がコンピューター管理しているので、1ヶ月の実績、1年間の実績と期間を分けて挙績を算出し、年間目標に対してどの程度の進捗かをお互いに確認します。自動車保険や傷害保険のように更新のある契約は、代理店にとってはある程度見込んで良い挙績と言えます。なぜある程度かというと、廃車になった、通販に切り替えた、加入の必要性を感じない等の理由で更新しないことも有り得るからです。そうなったら、無くなってしまった分の挙績を埋めるだけの新規契約が必要です。新規を獲得せず、更新の契約だけ対応していたら、その代理店は先細りしていつか破綻します。よって、定期的に挙績を確認することは、代理店経営にとっては必須事項なのです。

件数の管理

挙績を確認していく上では、新規の契約件数と更新の契約件数がどの程度あるかというのも重要視されます。特に火災保険で長期(20年~30年の保険期間)契約となると、1件なのに50万~100万円程の保険料になります。これをコンスタントに見込めるのであれば年間目標が達成しやすくなるでしょうし、たまたまならばやはり当初の予定通り毎月○件の新規契約を獲得しましょうね・・・と言う話になります。逆に客先の企業が店舗を1店閉鎖したとなれば、その店舗の火災保険や賠償責任保険等は解約となり、その分挙績が減ってしまいますから、その穴埋めをどうするか考えなければなりません。自動車保険も同じことです。フリート契約(同一の人物・企業が使用したり管理したりする車が10台以上ある場合に締結される自動車保険の形態)の増車、減車は、代理店の努力に関らず起こることですから、その動向を掴んでおく必要があります。このように挙績だけではなく、件数も把握することによって、正確な実績の把握と、今後の見通しが立てられるわけです。

新商品・改定の勉強会

保険の営業活動にあたっては、商品に関する正しい理解と、それを説明するスピーチ力が求められます。特に商品の内容が変わったりする場合は、お客様に誤った説明をしないように勉強会の時間を設け、保険会社社員が講師となり代理店を指導・育成します。また座学だけではなく、いざお客様を目の前にした時にスムーズに説明が行えるように、代理店の従業員同士でロープレ形式の勉強会にする等工夫が凝らされています。ディーラーのように販売スタッフを多数抱える代理店では、全員に知識を浸透させるために何度も勉強会を行います。また、保険販売のみを業務とする専業代理店では勉強会にプラスして、販売戦略について練ったりもします。「新しい商品をどのお客様に提案しようか」「更新のお客様にはどのようなアプローチをしかけたらよいか」等です。この時保険会社の社員はアドバイザー役となり、他の代理店の働きかけを紹介したり、代理店のシステムを使ってターゲットを絞ったり等色々なお手伝いをします。大口契約のお客様であれば、保険会社社員が同席して一緒に説明をすることもあります。このように、常に新しい知識を備えておくことと、それを生かす努力をすること/させることが重要です。

品質面でも打ち合わせ

高額な保険料を何件も獲得していれば、良い代理店というわけではありません。そのやり方がコンプライアンス違反に相当する程のひどいレベル、例えば商品説明を全くしないですとか、契約者宅に長時間居座って無理矢理契約させたですとか、そのような問題のある態度であってはいけないのです。打ち合わせの際には、コンプライアンスの面も注意して話がされます。他の代理店で実際に起きた不祥事を紹介することで注意喚起を行ったり、また契約後や事故対応後にお客様から寄せられたアンケートの結果を見て対応の如何を確認したり等して、募集面におけるクオリティーの高さを維持するためにはどのようなことに注意したら良いかを話し合います。

時には相談相手にも・・・

保険会社社員は、時として代理店の相談相手になることもあります。例えば「事故で長くトラブルになっているお客様がいるんだけれども、うまく解決に持っていく方法はないだろうか」という相談が来れば、事故担当と連携して対応します。(事故担当が代理店のところに打ち合わせに行くことは滅多にないので、営業担当を通じて事故対応を要請することもあるのです)また、高齢の代理店が抱える後継者問題の相談もあります。「自分が募集できなくなった後を引き継ぐ募集人が欲しい」「自分の子供が代理店業を始めたいと言っている」等、代理店の存続に関る問題には、保険会社の研修制度を紹介します。保険会社には将来自社の保険を販売する営業マンを育成する制度があり、2~3年社員として直接雇用し、独立した後は自分で代理店を開業する、あるいは既存の代理店の従業員になってもらうことで販売網を確保するのです。後継者に悩む代理店には、若い募集人を紹介したり、既に実績のある代理店と提携してもらったり等して悩みを解決しています。

最後は人と人の関係

代理店と保険会社の関係は、双方にとってメリットのあるいわゆる「WIN-WIN」の関係であることが理想です。これが実践できていると、年末に忘年会に呼ばれたり、業務外でもちょっと飲みに行こうか・・・等業務以外でも円滑な人間関係が築けたりします。とはいえ、保険会社の社員は3~4年の間隔で転勤します。保険会社と円滑な人間関係を順調に続けていくためにも、代理店は「次に担当する人が頼りになる人でありますように」「良い人でありますように」と願わずにはいられないのです。