代理店も1つの企業
代理店には株式会社、有限会社等色々な形態があります。規模が小さくてもいわゆる企業なのです。代理店として末長く経営していくためには、収益を得ていく必要があります。一般の企業であれば物を販売したら販売した相手から貰ったお金が収益となりますが、こと保険販売に関しては、販売した相手から貰ったお金ではなく別途保険会社から振り込まれる代理店手数料が収益となりますので、少し異なります。今回は、代理店をとりまくお金について記載します。
収入源は代理店手数料
代理店が受け取る代理店手数料には、大きく分けて2種類あります。まず、手数料が定額である自賠責保険です。自賠責保険の代理店手数料は、保険料や期間に関わらず1件1600円と決まっています。この代理店手数料は、保険会社に保険料を精算する際に、差し引きして受け取っても良いことになっています。が、手数料を差し引くのを忘れて保険会社に振り込んでも、別途保険会社から代理店に振り込むことも可能なので、そのあたりに厳格なルールは存在しません。(小切手で保険料が支払われた時等は、完全にこちらの方法です)もう1つは任意保険料の手数料です。こちらは、契約の都度支払われるのではなく、前月分の新規契約、保有契約、保険料増減のある変更手続き等全てを計算して得られた結果を翌月に振込するものです。損害保険だと、新規契約が1年一括払いで保険料12万円だとすれば、翌月に12万円分に対する手数料が支払われます。1年12分割払いの保険料12万円だとすれば、翌月は1万円分に対する手数料が支払われます。契約者の選択した支払い方法によって、代理店が手数料を受け取るタイミングが変わります。また、生命保険にはL字払いという方法があります。毎月の手数料をコンスタントに同じ金額受け取るのではなく、最初の何年間かを多く貰って、残りを少なく受け取るのです。毎月の支払額を棒グラフにすると左側が高く、右側が低くなるので、L字払いというわけです。ちなみに生命保険を契約してから最初の3年で解約されてしまうと早期解約ということで手数料の戻し入れが発生しますが、それを過ぎてしまうと戻し入れはありません。(損保にはそのような仕組みはありません)いずれにせよ代理店手数料は代理店にとって唯一にして最大の収入源であることに変わりはありません。
契約手続きのためにかかるお金
基本的に保険の説明に必要なパンフレットについては、保険会社から無償で提供されます。また、あらかじめ保険会社が印刷した申込書に手書きで記載する場合の申込書も無償です。ただし、パソコンで印刷可能な自動車保険や火災保険等の見積書、申込書は代理店がその紙代を負担することとなります。他にかかるお金と言えば、代理店が契約者宅を訪問する際の交通費ですね。また代理店で申込書以外の添付書類(車検証、地震保険の割引資料等)を自分でも保存しておきたい場合は、コピーして保存しておきますから、やはり紙代がかかります。とはいえ、今はタブレット端末に申込書内容を表示させ、その画面にサインをすることで契約が完了してしまう仕組みもあるので、紙代を負担すると言ってもそのような仕組みを利用すればうまくコストをカットすることができます。
契約保全のためにかかるお金
保険を契約をし終えたら、満期まではお客様には会わないというものではありません。事故に遭う方、変更手続きの必要な方もいますし、季節の挨拶として年賀状やDMを送る代理店もあります。契約して後は知りません~だったら、お客様は離れてしまいますからね。代理店として必要な情報提供、ならびにお客様を維持するためにダイレクトメールやメールマガジンを送付したりと、代理店は涙ぐましい努力をしているのです。また、契約者の利便性向上のため、保険会社はフリーダイヤルの窓口を設置しています。事故は勿論、相談や変更手続き等代理店が休日の日や連絡がつかない時でも対応できるようになっています。その費用は代理店の負担となります。代理店にも年末年始の休暇等がありますから、お客様の対応を全件自社で対応することが不可能な場合もあります。また、お客様は急いでいるのに自分は遠方にいる等ですぐ対応できないこともありますしね。そのような場合に迅速に対応できるようにフリーダイヤルが設置されているのです。そこで変更手続きを対応してもらった場合、1件あたり400円~500円程度の手数料が発生します。そのお金は代理店負担となり、別途代理店に個別に請求書が発送される、または任意保険料の手数料の振込の際に差し引かれる等して集金されます。
キャッシュレス関連
銀行が契約者の口座に保険料を請求する際、1件あたり50円から100円程度の経費がかかります。これは引き落とし結果に関係なく、請求するという行為自体にかかる経費であり、代理店の負担となります。保険料自体の大小は関係ありませんが、前月引き落としが出来ず当月再請求となっている案件については1件50円が100円になる等金融機関によってルールが異なります。よって、キャッシュレスの契約を多く持っていればいるほど、代理店が負担する経費が大きくなります。しかし、これが集金となった場合はもっと経費が嵩みます。契約者が直接代理店のところに支払いに来てくれるならまだしも、代理店が契約者を訪問して集金しなければならない場合、交通費は50円では済みませんよね?ガソリン代がかかるわけですし、そもそも時間だってとられています。よって、この経費が高すぎて困るといった類のものではありません。むしろ必要経費ですね。
募集人へのマージン
ディーラー等募集人が多数所属する代理店でみられる仕組みですが、保険を獲得したら保険料の数%をマージンとしてキャッシュバックすることで、募集人のモチベーションを維持している代理店があります。基本的には、説明することが多い新規契約の方が数字が大きいです。更新は電話で募集してしまえば訪問することもありませんし、時間も手間も新規より簡単に終わりますからね。新規ならば5%、更新ならば2%等、代理店の考え方によってその数字が様々です。更新契約はマージンなしという代理店も見たことがありますし、逆に改定の説明や他社からの防衛等更新の方が大変だという考えから、新規も更新でもマージンの数字は変えていないという代理店もあります。
キャンペーン
代理店が関わるキャンペーンには2つあります。まず、保険会社が主催するキャンペーンです。期間中に自動車保険を○件獲得する、保険料収益を△円挙げる等の条件を満たした場合、保険会社から表彰されるあるいは粗品が贈呈されるものです。もう1つは代理店がお客様に向けて行うキャンペーンです。例えばディーラーが保険を契約してくれたお客様に対して500円分のサービス券を配布するだとか、タオルやペン等の粗品を贈呈するといった類のものです。保険会社主催のキャンペーンで得るものは決してお金ではありませんが、プラスになるので決して悪い話ではありません。逆に代理店主催のキャンペーンは経費がかかりますから、やると決めた以上成果を上げないといけません。口でやろうと言うのは簡単ですが、実績を上げるのは大変なことですよね。
代理店店主の役割
代理店店主は、募集人であると同時に、会社の経営者として責任を果たす使命があります。自社の将来性やビジョンを社員ならびに保険会社と共有し、それに向かって努力することが必要です。やみくもに保険だけを販売していれば良いというものではないのです。