株式会社かんぽ生命保険

保証の主体

株式会社かんぽ生命保険は、見ての通り、株式会社だ。

 

管理人の親の世代だと、郵便局、親方日の丸だから何となく安心・・・というイメージが先行しているのだが、株式会社となった今日、それだけで、保険商品を選ぶのは、如何なものかと思う。

 

親方日の丸という意味では、2015年11月に11%の株式が東京証券取引所で売却されたが、残りの89%は親会社の日本郵政が所有し、その日本郵政の89%の株主は・・・・。管理人は、「国」「日本政府」と思っていたのだが、「財務大臣」だそうで、親方日の丸は健在と言える。今後、2/3以上は、市場で売却することになっているが、いつのことになるやら・・・。

 

上記のように主要株主は、これを書いている2016年12月現在、親方日の丸のままではあるのだが、商品はそうはいかない。
民営化、株式会社になる前、日本郵政公社・郵政事業庁・郵政省時代の簡易生命保険、郵便年金は、政府が保証しているものだった。
今、株式会社かんぽ生命保険が新規に扱っている商品、契約は、普通の保険だ。他の生命保険会社と同じで、保険会社自らが保証する。
財務大臣は、株主ではあるが、株主の責任は、他の株式会社と同様、有限責任。つまり出資した金額を失うまでの責任しかない。
税金ですからね、そんなことにはなってほしくないですけどね。

 

現在の株式会社かんぽ生命保険の商品ラインナップは、昔の簡易保険のイメージを引き継ぎ、使い勝手はよく似せているので混同しやすいが、責任の所在は、別物になっていることは注意しておきたい。

 

資産総額と規模

株式会社かんぽ生命保険が誕生するまで、日本最大の保険会社は、日本生命保険だった。
で、現在、株式会社かんぽ生命保険は、114兆円の資産という世界最大の保険会社になっている。
(114兆には、昔の簡易生命保険契約も含んでいる)

 

そりゃあ、国内の民間の外の保険会社にとっては、バックは国だし、資産もとんでもないし、脅威というか、競争にはならない。
早いところ、株式公開を進めてほしいものだ。
資産規模がやたら大きいのは、商品が貯蓄性をもったものが多いことも要因のひとつだろう。
管理人には、掛け捨て型の保険のイメージは、かんぽ生命にはない。

 

このどでかい資産だが、それなりに手堅く運用されていると言っていいだろう。
特に2008年あたりでは、多くの金融機関が、世界金融危機による世界的な株価と不動産価格の下落によって、損失をだしたというのに、かんぽ生命は、ちゃんと純利益を計上している。
これは、ポートフォリオにも特徴があるからと言える。(後だしジャンケン、結果を見てのことなので、偉そうにかけるのだが)
郵政民営化以前、運用は財政投融資(財投機関債)や日本国債の買入れに限定されていた。国、政府のやることだから、それはそれで仕方がない。
民営化後、かんぽ生命保険株式会社になってから、その運用先が緩和された。円金利スワップなどのデリバティブ商品を中心にしているが、国内の社債や株式、不動産証券化商品という、ややリスクがあるがある商品をポートフォリオに組み込むようになった。
しかし、為替変動リスクが伴う外貨建て金融商品への運用は殆ど行っていない。
保険の資産運用に、ハイリスクハイリターンを求めるか否かは、人それぞれだとは思う。
管理人の私見だが、ハイリターンを求めたいなら、国内の保険の運用に求めるのではなく、投資会社に相談するべきものじゃないかと思う。攻めなリ守りなり、それなりの相談には、乗ってもらえるだろう。どうしても保険でハイリターンを求めるなら、外資系の保険会社を検討してもいいだろう。

 

不払い

どこの保険会社でも不払いの問題が起きている。かんぽ生命保険株式会社でも、皆無ではない。2012年には、約100億円が不払いの可能性があると発表している。
管理人は、かんぽ生命の手先ではないが、これは比較的、軽いほうじゃないかと思う。ちゃんとやってもらわねば困ることなんだが、どうにもならない部分も残る気がする。会社というより、人間の業みたいな部分かもしれない。
弾劾し、不払いをしているような保険会社は選択しないというのも、ひとつのあり方だろうが、残念ながら、そうなるとほとんどの有名どころの保険会社を使えないことになる。
現実対応としては、契約する、利用する側として、賢く自衛する。つまり、貰えるものはちゃんともらうという姿勢をとる、あるいは人間として信頼できる担当者じゃなければ契約しないなどしかないと思う。

 

かんぽの宿

かんぽの宿は、そもそも、簡易保険加入者向け施設だった。簡易保険加入者は、安くていい施設が使えることが魅力のひとつだった。
しかし、郵政民営化時点では、かんぽ生命保険ではなく持株会社の日本郵政が引き継ぐことになり、さらにはオリックス不動産に売却するなんて話にもなった。(現在は白紙に戻っている)
今、かんぽの宿は、かんぽ生命株式会社と直接の関係はない。日本郵政株式会社宿泊事業部が運営をしている。
新ながいきくんや、はじめのかんぽを契約しても、かんぽの宿の特典はない。
かんぽの宿は、けっこういいロケーションだったり、設備もよいところがある。
日帰り温泉銭湯のサイトで体験談を募集しているが、見る限りかんぽの宿の日帰り入浴は、評判がいい

 

カンちゃん

カンちゃんを知っているなんてことを言い出すと、世代がわかってしまうかもしれない。
長らく使用されてきたマスコットキャラクターだったが、民営化の時に廃止された。
別に廃止しないでもいいじゃん・・・。カンちゃん。不憫だ。
尚、現在、かんぽ生命保険株式会社のマスコットキャラクターはない。

 

加入限度額

かんぽ生命の保険商品が、他の生命保険会社と異なる(制限がある)のは、加入できる限度がある点だ。
これは、郵政民営化関係法令によって定められていて、限度額は、旧日本郵政公社の簡易生命保険契約とあわせて計算される。
基本契約の限度額は、15歳以下は700万円、満16歳以上は原則として1,000万円だが、満20歳以上満55歳以下の場合は条件を満たせば、2,000万まで加入できる。

 

無診査

かんぽ生命は、申込みの際、医師による診査を必要としていない。担当者の面接があり、告知することで済むなど、簡易な手続きになっている。気を付けたいのは、これは、無審査ではない。無診査である。面接の後に審査され、申し込みを受け付けるかどうかが決定される。
かんぽ生命がわざわざ周知しているので、書いておくが、「職業による加入制限はない」
まあ普通そうだよな。農協(JA)の共済だって、準組合員になれといわれる場合があっても、職業を農業にしろとはいわれないもの・・。

 

保険商品の展開

かんぽ生命の保険商品は、死亡時の保障を基本としており比較的シンプルだ。

  • 終身保険 新ながいきくん
  • 新普通定期保険
  • 学資保険 はじめのかんぽ
  • 養老保険 新フリープラン
  • 特定養老保険 新一病壮健プラン

 

これに加えて医療保険(入院保障)にあたるものが特約として準備されている。

  • 無配当障害入院特約 その日から
  • 無配当疾病障害入院特約 その日から
  • 災害特約

がある。

 

これらの構成は、簡易保険時代からのラインナップを意識的に継承しているといえるだろう。
なお、株式会社かんぽ生命の代理店を務める郵便局で、アフラックAflacのがん保険Days を扱っている。
かんぽ生命には、がん保険はないからな。

 

 

 

今後

巨人、かんぽ生命は、 2008年、日本生命保険との業務提携を発表、2016年、第一生命保険との業務提携を発表、新しい商品を開発発表と、動き続けている。なにしろ巨人。その動向には、注意をはらっておきたいと思う。

 

かんぽ生命株式会社の取扱店 郵便局の所在地情報

 

 


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