IBMのワトソン。IBM Watson Explorerと表記するほうが正確なのかもしれませんが、この記事では、IBMのワトソンで、統一しておこうと思います。
保険業界での、IBMのワトソンの知名度がどの程度なのか、残念ながら管理人には判断がつきかねていますが、ITの業界では、実用化に向かっているAIのエンジンのひとつとして、著名な製品だと思っています。
まあ、実際にIBMのワトソンを使って、システム構築やシステム開発をしたことのあるITCHINGエンジニアは、IBMの社外ではまだまだ少ないとは思いますけどね。
さて、2018年の2月、そんなAI、IBMのワトソンを朝日生命が保険給付の支払い業務のさらなる迅速化と業務効率化にむけて採用し、システムを稼働させたというニュースが入ってきました。ただの迅速化と効率化ではなく「さらなる」がニュースの文言では、迅速化と効率化について耳に入ってきたのに注目です。入ってきたのは耳なのに注目です。
「さらなる」だと、これまでだって早かったんだからね、でももっと早くなったんだからね、という自信のほどが見えてきます。
では、どれだけすごいかというと、ワトソンさん稼働によって、給付金請求が、診断書等の情報が到着後最短30分で支払い査定と送金手配が完了するとしています。30分は確かに早い感じがしますよね。でもこういうのは比較の問題です。なにしろ「さらなる」ですからね。見ると従来は、平均2.4日だったということです。なるほど、平均2.4日。頑張った、頑張っていた数字だと思います。これであれば、「これまでも早かったんだよ、だから、さらなるって言いたいんだ」も理解できます。
朝日生命がIBMのワトソンを使ったシステムで、給付金支払いの「さらなる」高速化をしたと称していいる、発表していることは、理解できました、では、その仕組をみていきましょう。仕組みの概要がわかると、納得できることも増えますからね。
まずシステムは、支払い査定に必要な情報の自動抽出とコード化を行います。入力は診断書です。診断書の文章からシステムが表記の名称や、入院の情報を読み取って、コードにして入力する。今までは人間がやっていたことですよね。これをOCR+AIで実現した・・といいますが、これは管理人の推測ですが、きっと100%は、無理なんでしょう。ひどい悪筆とか汚い字とかありますからね。でも80%、90%がそれで処理できて、残りの読み込みエラーになった分だけは人間が対応するとするだけでも、大きな導入効果があるんでしょうね。加えて、実装にもうよりますが、学習もさせることができますからね。認識率は運用を重ねると向上していくんでしょうね。
コード化したあとは、案件、事案の自動でランク分けを行うといいます。簡単なもの、あるいは、ワトソンのAIのデータベースに一致する事案は、簡易な事案として、そのまま支払、送金手続きまで一気に自動で行ってしまいます。
ワトソンが簡易な事案ではない、データベースにある既存の案件のパターンとマッチしない場合が、高難度の事案となのですが、これはもう従来通りの人間が処理します。人間といっても、もちろん専門家です。さすがに誰でもというわけには、いかないでしょう。それでも留意点などについてガイダンスを出すなど、判断支援まではサポートするといいます。まだまだ完成度は低いのでしょうが、この前のめりの姿勢って、新しいことをやるには大事なことですよね。
もうひとつ、これはいいなぁと思ったのは、請求のあった事案の支払いを迅速化するだけではなくて、読み取った内容から、「こういう請求もできる可能性がある」をサジェストする機能も実現しています。完成度や正確性はともかく、なんかこの機能を実現させた朝日生命という会社の姿勢、けっこう好きかもしれません。
こんなのは、馬鹿な会社だと、システム構築費用を抑えるために、真っ先に削除しそうな機能ですからねぇ。
あとは、あるいは、IBMワトソンの営業さんが、優れた提案とプレゼンをしたのか?
管理人にとって、今回はいろいろ考えさせられるニュースでした。
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