保険マップ

実際に発生した自動車事故対応の保険トラブル

最終更新:

事故対応の現実

事故が発生した時は、専任の事故担当者が過失割合の交渉等や修理費の査定等を行います。スムーズに事故対応が進めば良いのですが、中には事故の相手が過失割合に納得していない等の理由で長引くものもあります。また、契約内容に関することで事実確認をしなければならないケースもあり、お客様の思うように事故対応が進まないこともあります。今回は特に契約内容に関することで、事故対応がトラブルになった例を紹介します。

自動車保険の使用目的が違う

自動車保険は車の使用目的「業務」「通勤・通学」「日常・レジャー」の3種類に分け、リスクごとに保険料に差を設けています。そして、保険期間の途中でこの使用目的に変更があった場合には、変更手続きを行わなければなりません。この使用目的に関して、実際に起こったトラブルをご紹介します。お客様から「通勤途中に車をぶつけてしまった」という事故の連絡がありました。しかし、契約では使用目的は「日常・レジャー使用」となっております。そこで「手続きしている内容と違うのですが、本当に通勤に使用しているのですか?」と聞くと、「先月就職が決まったので、毎日通勤で使うようになったんです!」と回答が。これは保険用語で言うところの、通知義務違反です。乗っている車が変わったり、使用目的が変わったりすると、保険料が変わるので、お客様側から保険会社や代理店に連絡して手続きを行わなければいけないのに、それを怠るとこの通知義務違反という扱いになります。支払うべき保険料を支払っていないのですから、最悪の場合事故対応も保険金支払いも出来ません。この事故に関しては、契約者はうっかり変更手続きを忘れており(差額保険料を支払いたくないから故意に手続きをしなかったわけではないということ、遡って使用目的を変更し、差額保険料も速やかに支払うという意思を示したことから、無事保険で事故対応することとなりました。契約内容と実態が違うというのは、基本的には有り得ない事です。出来れば契約後に保険証券が届いたら1度その内容を間違いがないかどうか確認し、車や自分自身に関すること(引越しや結婚等)で変わったことがあれば、すぐ保険の内容も変更するという癖をつけて頂ければと思います。

補償を手厚くした直後に事故が起きる

バイクに乗られる方で、雪が降る地域に住んでいる方は、夏の間だけ自動車保険の補償を手厚くして、冬の間は補償を最低限(対物200万円だけの補償等)にすることがあります。ここでトラブルになるのが、春になってまた補償内容を充実させた時です。例えば4月1日に補償内容を元に戻して、4月2日に事故が起きたとしましょう。このような事故が発生したら、保険会社は「春になって久しぶりにバイクに乗ったら事故を起こしちゃったんですね・・・可哀想」なんて、同情の目で見ているわけにはいかないのです。その事故は本当に4月2日に発生したものなのか?実は3月31日に既に事故を起こしていたけれども、現在の内容では補償されない破損だから、4月1日に慌てて変更手続きをして4月2日の事故として処理してしまおうと考えているのではないか?と一応疑いの目を持ってみなければいけないのです。事故日を偽る手口で保険金を騙し取ろうとする人が、少なからず存在するからです。保険会社内では契約日や手続きした日から1週間以内に発生した事故については、契約の経緯や事故内容について詳しく調べるようにしています。善良な契約者様にとっては、何もしていないのに疑うような対応をされるわけですから、それを不快に思い保険会社や代理店と言い合いになる場合もあります。もしそのような事故を起こされた方は、恐縮ですが保険会社の事情をお察しいただき、色々聞かれても素直にありのままをお話して頂ければと思います。

契約が存在しない

保険を契約した以上、保険料を支払うことは契約者の義務です。その義務を長期間怠ると、保険会社は未入金を理由に一方的に契約を解除することができます。ただし、保険会社はいきなり解除にするわけではなく、口座振替のお客様へは「○月△日に保険料の引き落としが出来なかったので、来月は引き落としてできるようにして下さいね」と文書を送ったり、コンビ二払いのお客様へは「コンビ二で支払った形跡がないので、もう1度送りますから締め切りまでに支払って下さいね」等の督促は行っているのです。それにも関らず締め切りまでに入金がないのですから、これはもう払う意思がないんだな、とみなして契約はそこで終了です。事故が遭った、怪我をしたと保険会社に連絡しても、もうどうしようもありません。しかし、中にはどうにか保険会社に事故対応をしてもらおうと粘る人がいるのです。そのお客様は追突事故を起こしてしまい、お互いの車は修理が必要な状態、しかも相手は怪我をしているということで保険会社に事故の連絡をされました。しかし契約を確認すると、保険料が未入金のため、契約は既に解除済み。「申し訳ありませんが、事故発生時点で有効な契約がないので事故対応はできません」と伝えると、どうにか対応してもらおうと言い訳をしてくるのです。「契約が無効になっているなんて知らなかった」「保険会社からのお知らせ?引越ししたので届いていない」「引き落としになっていない?いや、口座に残高はあったはずだ」保険会社に対応してもらえなかったら全額自腹で補償しなければならないのですから、必死になるのもわかります。しかし、「無い袖は触れない」のです。お客様が何を言おうが、保険会社はそれを論破するだけのネタを持っています。もし保険会社からのお知らせの類が一切届いていないのであれば、郵便局経由で返送になるので、調べれば契約者宅に届いているかどうかは分かります。口座に残高があったのに引き落として貰えなかったと言われても、銀行の引き落としの朝夕2回のタイミングで口座から引き落とすパターンや、口座に残高さえあれば都度引き落とししてくれるパターン等色々あるのです。口座番号を間違えていたとなれば話は別ですが、以前は順当に引き落としていた実績があるので、やっぱり残高がなかったから引き落としできなかったんですね、という話になります。結局お客様はものの見事に論破されてしまい、引き下がりました。お金を払っていないのに都合の良い時だけ頼ろうとするのは、虫が良すぎる話ではないでしょうかね?皆様も、保険料は猶予期間内にきちんとお支払い下さい。

トラブル回避の策・弁護士費用特約

国内で発生する事故10件のうち3件は、被害者に過失のないもらい事故であると言われています。事故の形態がもらい事故である場合、被害者側の保険会社は示談交渉に参加することができないということをご存知ですか?事故の相手が真摯に対応してくれない等のトラブルが発生した場合は、自分で交渉をしなければなりません。契約内容に弁護士費用特約が付いていれば、弁護士に対応を依頼することができます。ところがこの弁護士費用特約を付けていなかったために、弁護士に相談できず交渉が長引く羽目になったお客様もいらっしゃいます。事故発生時のトラブルを避けるためにも、弁護士費用をおすすめする代理店が多いです。保険料も月々200円前後ですから、付けていて損はないと思います。是非、ご検討下さい。

トラブルを少なくするために

事故対応をスムーズに進めるためには、お客様が自動車保険の契約に対して確認や手続きを怠らないことが重要です。それを怠ると保険金が支払ってもらえないかもしれないという危機感を持つことを忘れないで下さい。
By A子 2015年公開