自動車保険はキャッシュレス
自動車保険や火災保険は、今やキャッシュレスが当たり前の時代です。10年前であれば契約と同時に保険料を貰わないと補償が始まらない!といった風潮がありましたが、今では口座振替、コンビニ払、クレジットカード払等現金を持たなくても契約できるようになりました。これには、契約者、代理店、保険会社の3者にメリットがあります。まず、契約者は契約時点までにお金を用意できなくてもサインか印鑑があれば契約できるので便利です。代理店は領収証を発行する手間が省け、預かった保険料を保険会社に精算する手間がなくなります。保険会社は、代理店が預かった保険料を着服するリスクを減らすことができます。そんな背景もあってキャッシュレスの仕組みがどんどん整っていったわけですが、逆に契約者はいつまでにお金を払えば良いのか?ということを把握する必要が出てきました。契約したお金はいつ引き落としになり、引き落としにならなかった場合はどうすれば良いのか?今回は、実在する保険会社の制度を元に話していきます。
三井住友海上の払い込み期日について
以前に女優の堀北真希さんがサッカーのユニフォームを着ているCMが放送されていましたが、覚えていらっしゃいますか?何故サッカーなのかというと、三井住友海上で販売している自動車保険の商品名が「GK(ゴールキーパー)」だからです。このGKの毎月口座振替の契約を例に、払い込み期日と事故の有無責(保険金を支払うかどうか)を確認していきましょう。まず、請求した月の口座振替が残高不足により引き落としにならなかった場合、翌月に再度請求が行われます。分かりやすく引き落としできなかった月を1月、再請求が行われる月を2月とします。1月に引き落としにならなかった保険料の払い込み期日は、2月になります。当然、2月は2か月分の保険料が請求されます。2月にきちんと2か月分引き落としになれば、3月からは1ヶ月分の保険料の請求に戻ります。1ヶ月分しか引き落としにならなかったら、3月にまた同様のことが起こります。即ち、また2か月分請求されます。この時は1月の保険料を領収した扱いになるので、2月の保険料は払い込み期日である3月までに支払わなけれないけません。では、2月に何も引き落としが出来なかった場合はどうなるのでしょうか?この時は、3月31日までを「払い込み猶予期間」とするので、それまでに支払って下さい、ということになります。期日を過ぎても、あと1ヶ月の猶予をくれるわけです。ただし、3月の口座請求はストップします。3月は引き落としにならなかった保険料2か月分+請求がストップした3月分の保険料をまとめて支払わなければなりません。保険会社から払い込み票が送られてくるので、コンビニや郵便局等で支払います。これを支払わない場合は、契約は解除となるので、等級の割引は消滅します。7等級以上の人は、6等級から再開です。元々支払えなかった保険料が、6等級になると余計支払えなくなるということで、この時に補償を減らしたり、通販型に切り替えたりする人が多くいます。結論から申し上げますと、保険料の払い込み期日は翌月です。しかし、保険料の引き落とし不能が続いた場合は、この限りではないということです。(払い込み期日が翌月であることを考慮すると、この例では3月の保険料は4月までに支払えば良いはずですが、3月中までに支払わないと契約は即解除となるので、絶対的ルールとは言えません)事故対応に関しては、保険会社が定める日まで保険料が入金があったものについて有責とされるので、事故を起こした後に保険料を支払っても問題はありません。しかし保険料を支払った前提ありでの保険金支払いなので、急を要する時は個別に振込みをしたり、引き落としになった通帳のコピーを見せる等の対応を求められるかもしれません。とりあえず、保険料未入金ということが、即事故対応しないということに繋がるわけではないので、安心して下さい。
振替不能は連続しておこしてはいけない
保険料の払い込み期日が延長になるからといって、後でまとめて3か月分払えば良いという考え方ではいけません。この振替不能における取り扱いは、保険期間が1年以上か1年で変わることがあるのです。保険期間が2年、3年といった長期契約の場合、上記の振替不能→3か月分をまとめて支払うの流れは何度でも繰り返すことができます。しかし、1年契約は繰り返すことができません。先ほどの例を用いて説明します。3月にまとめて支払った契約者が、4月と5月にも同じように振替不能になりました。じゃあ6月には3か月分?と思った方、甘いです。1年契約で2ヶ月振替不能を2回起こした場合、まとめて支払うのは満期までの金額です。この例ではまだ3か月分しか支払っていないので、何と9か月分の保険料を支払わなければいけないのです。1ヶ月分の保険料も引き落としにならないのに、9か月分払えと言われて対応できる契約者がどれ程いるでしょうか?しかし、この場合は6月30日までに全額支払わないと契約は解除です。まとめて支払えなんて、保険会社のやることは厳しいなあと思いますか?しかし、保険会社も口座振替で契約しているにも関らず残高不足に陥る(言葉は悪いですが、金払いの悪い)契約者を常に管理している程暇ではありません。さくっと入金してもらった方が得策なのです。もしその契約で事故がないのであれば、適当な日付で解約してしまえば、保険料は満期までではなく、解約日までの保険料で済みます。ただし、保険期間1年未満の契約なので、20等級未満の人はまた同じ等級を1年間続けなければいけません。もし事故があるなら、その契約を成立させないと保険金支払いはおろか事故対応もしてもらえませんから、どうにかお金を用立てるしかありません。この辺りの細かい制度は保険会社によって対応が異なるかもしれませんから、引き落としができなさそうだなあと思った時点で保険会社か代理店に確認して下さい。
残高はあるのに、保険料が引き落としにならない?
ここまで読んで、「保険料が引き落としになれば払いこみ期日なんて関係ないんでしょ。だったら、残高がある私は大丈夫」と思っている方いませんか?でも、その過信が思わぬトラブルを招くことがあります。口座が残高不足という理由以外にも、保険料の請求が不能になることがあるのです。それは、口座の登録手続きに不備がある時です。口座から引き落としをしてもらうためには、所定の口座振替依頼書に完璧に記入し、保険会社と金融機関に受理してもらうことが必要です。しかし口座番号や支店名を書き間違えた、口座届出印を押し間違えた、そもそも書類を出していないといった不備が起こると、どんなに残高があっても引き落としされません。保険会社かは不備があった場合に契約者に再度手続きするよう案内を送るのですが、すぐ対応したとしても引き落としが始まるのは翌月です。手続きが遅れれば、遅れた分の保険料がまとめて請求されることになります。中には印鑑がたくさんありすぎて、どれが口座届出印か分からないという人もいるので、時間がかかる人は本当に時間がかかります。(私自身も何度銀行に書類を持ち込んだことか・・・)予防策として、通帳の記帳は欠かさずに行って下さい。
保険料の支払いは契約者の義務
払い込み期日、払い込み猶予期間など聞き慣れない言葉がたくさん出てきたかと思いますが、とりあえず払い込み期日は絶対●●日!と決まっているものではないことが分かって頂けたでしょうか?保険会社が契約者に保険金を支払うことが義務なら、契約者が保険会社に保険料を支払うこともまた義務です。入金管理はきちんと行い、契約を維持しましょう。