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ジ・ユナイテッド・キングドム・ミューチュアル・スティーム・シップ・アシュランス・アソシエーション・(バミューダ)リミテッドとは

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UK P&I CLUBとは

私事で恐縮なのですが、保険業務に関わって来たものとしてまだまだ知らない保険の種類がたくさんあるという事を知りました。
特に船舶系の保険は海外・世界規模であるものが多く、UK P&Iクラブ日本支店もその一つです。 一体何なのだろう?保険会社がそこまでオーバーにする必要があるの?と思ったりもしたのですが、調べていくうちに船舶、特に賠償責任保険は何かと大規模範囲で事故や損害が想定されますのでクラブ形式を取るようですね。こちらの保険も《船主の船舶運航に伴って生じる第三者賠償責任相互保険》なのです。一般人には馴染みがなく、あまり知られていないのも事実ですが、日本・世界規模では必ず必要になってくる保険のひとつと言ってもいいでしょう。その中でもUK P&Iクラブ日本支店は、イギリスを拠点とし、日本にも支店があります。

UK P&I クラブ 日本支店

実は日本支店が日本でUK(ヨーロッパクラブ)として開業したのは、2013年と10年ほど前の事なのです。もちろん、それまでにイギリスから業務に関する引き受けや条件、手続きなど様々な過程や免許を取得するまで歴史は明治時代へとさかのぼるのですが、2013年の開業は少し遅すぎるとしても、明治2年(1869年)、スエズ運河海運の歳と共にUKクラブ、英国ロンドンにて船体保険相互組合として発足してから、日本には31年(1956年)に東京タンカーと言う会社名で再保険という形で初めてUKクラブに参加します。この時の引受け保険会社はAIUだったのですが、島国と言われていた日本は船、つまり船舶が立ち寄るには絶好のポイントであり、船舶に関する保険や商品はビジネスになると、この頃から目を向けられていたのではないでしょうか。戦後は空路よりも海路の方が盛んに物資の運用が行われていた時代でもありますので、そこに必要になってくるのは間違いなかったという事ですね。

業務内容

では、《船主の船舶運航に伴って生じる第三者賠償責任相互保険》と言っても実際にどんな業務を行っているのでしょうか。
例えば、貨物船同士が海の上での衝突事故が起きたとします。先ずは人命・そして積んでいた荷物の賠償・相互の機体の損傷など、これだけでも誰が事故を担当するの?という事になりますよね。路上で車同士の交通事故が起きた時のように、警察や保険屋さんがすぐに飛んできてくれればいいのですが。。。海の上ともなると、そのような訳にも行かないのが現状ですし、同じ国同士の船とは限りません。そこで登場するのがUKクラブの様な船舶の賠償保険なのです。また、皆さんもテレビニュース等でご覧になった事があるかと思いますが、大型タンカーから重油が海上に流出してしまったと言う様な時にも、この保険の出番です。事故だけではなく、環境問題に関するセミナーやアピールを行っているのも実績のひとつです。

ニーズと知名度

ニーズと知名度、ちょっとタイトルに無理があったかもしれませんね(笑)すみません、ニーズがある事はある程度わかって頂けたらと思います。問題は知名度。そもそも知名度と言うのは誰が誰に何のために知って欲しいかという事が必要だと思うのですね。ですから一般的に生保のCMや自動車保険のCMが頻繁に流れているわけで。。UKクラブの様な専門的な保険となりますと先ず一般の方に直接的に関わって来る事は無いので知名度は低く、、無いに等しいかもしれません。船舶を扱っている造船所などには知られているかと言うと、その辺りも微妙です。
実際に船を触っている人よりも、物資を海路で運んでいるもしくは取引をしている会社レベルで知名度があるのが答えです。○○物産ですとか、日本には大きな物産会社が名を揃えますよね、そこら辺の会社には海外進出で取引を行っている以上、無くてはならない保険としてUKクラブの保険は知られている可能性が高いです。ただし、世界中に同じような保険会社があるので選ぶのは難しいかもしれませんね。

世界を視野にいれて

世界を視野に入れて。。という事ですが、この事を考えると海に対して、漁業などで各国の線引きはされているものの実際に船を走らせてみると海の上に線引きがしてあるわけではありません。海はみんなのものとよく言いますが、正にその通りではないかと思うのです。
もちろん、海には資源が豊富にありますし、その資源をめぐって国際問題に発展する事も少なくありません。しかし、船舶において船主が運行する上での事故やトラブルは起きた瞬間には、その海の上がどこの国の領域であるかは二の次になるのではないでしょうか。地球上に海がある限り、いえ、地球の7割は海といってもいい中で船舶の保険業は世界を視野に入れずに営業展開をする事はまずあり得ません。UKクラブは日本での開業は近年の事ですが、人がこの海の向こうに何があるのだろうと思った偉人たちが生きていた時代から必要とされていたかもしれないですね。むろん、今思えばの話ですが、、、。

他社としては。。

この種類の船舶賠償責任保険に関しては他社との競争率と言うよりも、世界規模での展開になりますので、どの渡航ルートを運航しているかで保険を選ぶ側は選ぶのではない思います。UKクラブの場合は拠点が英国という事ですが、拠点と独特の補償内容が他社との比較になると思います。規模が大きすぎて比較できないと言うのも現状でしょうか。保険料などの詳細が、調査不足でお知らせできないのが残念なのですが、実際にこの種類の保険会社で働いていると言う知人が居ないのも事実です。他社がUKクラブをライバル視する。。という事は皆無とは言いませんが、取引口が固定している船舶保険が多い中で他社の視線と言う事に関しては、あまり気にしていない様に思います。

世界の外航船舶とP&I

世界の外航船舶は9割の確率でP&Iに加入しています。つまり、船舶に賠償保険は欠かせないという事になります。
また、クラブ組織が多いのは単体で船舶保険を運営するのではなく海外企業の大きな事業主が運営している場合も少なくありません。
国からの依頼・企業からの依頼と線引きが無いため、外航船舶に関しては日本も世界と同じ知識とマナーが無くてはなりません。
クラブ組織になっている意味がイマイチわからないと、調べてきたのですが、要はお金の出所つまり補償をする時に大きな損害を補償できるかどうか扱える力のある会社でなければならないという事では無いでしょうか。《ジ・ユナイテッド・キングドム・ミューチュアル・スティーム・シップ・アシュランス・アソシエーション・(バミューダ)リミテッド》という長い社名の中の最後に(バミューダ)とありますが、これはUKヨーロッパが引受けをする前の名称になります。ちょっと長いのでどのような意味があるのかわかりにくいかもしれませんね。

むずかしい~

この保険の記事を書かせていただくにあたって、正直な所「難しい」というのが本音です。たかがほんの十何年保険業界に係ったからというものの、船舶の賠償保険に関しては全く無知な私。しかし掘り下げて調べていくうちにP&Iという懐かしい響きに再会しました。
そもそも保険というものはP&Iが基本ではないかと思うのですよ。一般家庭や企業で加入されている損保や生保の補償もP&Iの概念と似ているなぁと。そこに船舶と言う海の上を行き来する船の保険を重ねると、少しずつ分かるようになるかと思います。以前、他社の同じく船舶に関する保険を書かせていただいた時に、日本の海上が酷く混みあっていて何とかならないものかと取り入れたのが小さいながらも設立されたP&I代理店事務所だったのですね。説明するにも「むずかしい~」という保険なのですが、周りが海の日本には必要な保険であるという事を少し、知って頂くと幸いです。

安定性

《ジ・ユナイテッド・キングドム・ミューチュアル・スティーム・シップ・アシュランス・アソシエーション・(バミューダ)リミテッド》このまま読むと「ん?」と思うのですが、先にも述べさせていただきましたが知名度は一般的には浸透性は低いです。しかし、ニーズとしては世界規模で高い需要がありますので保険を提供する側としての安定性は大きいです。格付けとなるものも気になる所ですが、船舶にかんする賠償保険に関しては格付けが例え低い位置に位置付けられているとしても、必要性が無くならない限り安定していくのはではないかと思うわずにはいられません。いずれにしても船舶のとくにP&I日関わる保険は私事ではありますが、今後も記事を書かせていただく事があるとしたならば更なる学びが必要だと自覚しております。

今後の展開

今後の展開ですが、必要性・安定性などでも挙げたように世界に海がある限り大きな変貌と言うのは無い様に思います。
倒産となると話はまた別の問題になりますが、組織化(クラブ)している保険会社はそう簡単に破たんするものでは無いと見ております。
また、同じような保険が諸外国にあるじゃないかという点でも、100%では無いにしても各社独特の個性がありますので日本の保険のようにめまぐるしく契約者が変わる事も無いと思います。保険という基本に戻った時に、もしかしたら賠償責任という言葉が一番最初のキーワードに浮かぶのではないでしょうか。その類で考えてみると自動車ほけんよりも賠償責任保険の方が保険の原点ともいえるのではないか。。とも考えさせられた船舶賠償保険。少なくとも《ジ・ユナイテッド・キングドム・ミューチュアル・スティーム・シップ・アシュランス・アソシエーション・(バミューダ)リミテッド》という長い名前がついている社名があるという事だけは忘れる事無く今後も必要とする側の記憶には残って行くでしょう。