終身保険と貯蓄性
保険は、「万が一の事態に備える」という側面が基本です。しかし、ここに貯蓄性や投資性をもたせ、定年退職の後、老後、シルバーライフに備えることもあわせてできる商品を、生命保険会社の各社が販売してきました。それが定期保険、養老保険といった商品です。管理人も、若い頃には、妙齢の保険レディ達から定期保険、養老保険の営業されましたが、当時20代で老後の話をされてもねぇ・・・。イケイケ、ドンドンの若者であった管理人は、定期保険、養老保険の加入、契約はしませんでした。というか何も考えてない若者でした。
定期保険、養老保険には、それぞれ特徴、メリット、デメリットがあります。それはまた別のページで書きますが、一番の問題は、寿命が長くなったことでしょう。平均寿命が長くなってしまうと、契約期間の終了がある商品では、不安がおおく残ることになります。早く死ねばいいという発想になりかねませんw そこで販売されるようになってきたのが、終身保険です。文字通り、終身、死ぬまでの保障のある保険です。それにしても、医療の進歩で長生きできるようになったことはきっといいことなのでしょうが、いざそういう年代が目前になってくると、ちゃんと生きるというのは、実はなかなか力がいることだと、しみじみ思います。
現役で働く期間には、万が一に家族のためにも備えるという側面と、お金の面で、周囲やお国(w)に迷惑をかけないように、いろんなことを備えておかねばなりません。返戻率、リターンなどを優先して考えれば、保障をする保険は掛け捨てで費用を抑え、株や投資信託などで、積極的にリターンをとるのが、一番効果的かもしれません。実際、そのようにして、大きなリターンを得たり、保険料を節約するのに成功している人もいるでしょう。
管理人の場合は、株や各種投資に使う知恵、エネルギーがあるなら、本業の仕事、事業のことにお金も時間もエネルギーも使いたいと考えましたから、そういった商品には、それほど積極的に手を出しませんでした。終身保険には貯蓄性がありますが、劇的に素晴らしく儲かるという種類の商品ではありません。
終身保険と解約
当たり前でしょうが、人間は必ず死ぬます。終身保険は生命保険のひとつですが、生命保険の会社から見れば、死んだ時には、必ず支払いが発生することが確実な商品です。だから、終身保険などで支払う保険料のうち一定割合は、将来の保険金支払のために積み立てられることになるのは当然です。それでも何とか、集めたお金を運用し、経費や会社の利益をだし、それなりに契約者にリターンを積んでくれるのだから、大したものだと思います。運用とか投資はちゃんとやれば利益が出るのですねぇ。だから、本当に利益、リターンだけを追い求めるならば、終身保険などではなく、自分で、株や投資で運用したほうが大きな利益を得ることが、理屈の上ではできるはずです。終身保険の会社の経費や利益のオーバーヘッドがなくなるわけですから。問題は、終身保険の専門の運用担当者以上の、運用の技量があるか、投資判断をするための情報収集力があるかなどでしょう。自信とネネルギーがあるのならば、終身保険などの商品は選ぶべきではないでしょう。
管理人の場合ですが、お金は生きていくためにある程度必要ですし、たくさんあって困るものではありませんが、そのためだけにエネルギーを使うのも、なんだか人生としてどうなんだろうと思いました。投資、投機に使うパワーの分は、本業でがんばって知恵を使っておいて、普通に貯蓄性が高く、リスクが少なく、お任せで放置でも、それなりのリターンでいいやというのが、自分なりの結論です。このあたりは自分の人生観やお金に対する考え方もあるでしょうから、よく考えてみて下さい。
終身保険は、定期保険よりも割高になる傾向がありますが、解約した場合でも返戻金があるように設計されている商品が多いようです。だから、家族、遺族のために万が一に残すという必要がなくなる、あるいは、有期払い(短期払い)で保険料の払い込み終了時に保険を解約して、年金保険、医療保険、介護保険などに切り替える事もできるでしょう。終身保険の比較、検討をする時には、そのスイッチの流れについても、よく話を聞いておきましょう。
多くの場合、終身保険は、支払った総保険料よりも、多くのお金が戻ってくる、返戻率がいいように設計され、それを目指して運用されます。
終身保険の支払い
終身保険の保険料、掛け金の支払いの方法は、おおまかに3パターンあります。
1)全期払い 終身払い
2)一時払い 前納
3)短期払い 有期払い
1)全期払い、終身払いは、要するに、死ぬまで、一生、終身保険の保険金を支払い続けるものです。会社員で定年退職のある人だと、あまりこのパターンはとりにくいでしょう。3)短期払い、有期払いで、定年退職の時までと設定することが多いかもしれません。3)短期払い、有期払いは、年齢で60歳、65歳といった指定や、10年、15年、20年といった指定の仕方がありますが、終身保険の商品によって異なる部分ですから、比較する場合は、そこが自分の思っているパターンに適合するかも確認しましょう。
今すぐに使わないある程度のお金があって、老後の蓄えにしておきたいというような場合に、2)一時払い、前納といったことも考えられるでしょう。まあ、この場合は、他の金融商品も比較しておきましょう。10年償還の社債などリターンのいいものもあるでしょう。結局は最後は、自分で選択するわけですが、焦らずに、終身保険に限らず、いろいろな金融商品を選択枝として考えてからの行動が大事なことだと思います。
どんな投資、金融商品でも、何らかのリスクは必ずあります。自分の責任と覚悟で選ぶしかありません。最近の顕著な例でいえば、電力会社は、産業や生活に必ず必要な会社だから、今後も配当を出し続けるだろと思っていたら、大きな事故によって時価を下げる・・・などということは、おそらく電力会社の個人株主の99%の人は考えていなかったでしょう。株主として経営陣の責任を問うのもいいでしょうが、根本のリスクは投資する側が負うものと考えておくべきだと思います。
終身保険は保険料の支払い方法を目的に応じて選択することができるので、効率の良い加入ができますが、総支払保険料で考える場合、平均寿命以上に生きるとすれば、一時払い、前納が一番有利で、終身払い、全期払いが一番不利です。もっとも、その前に死ねば逆になるのは、終身保険に限らず、多くの保険商品がそういう設計になっているでしょう。
尚、自殺について、数年の間は、死亡の保険金が支払われないのは、終身保険に限らず、生命保険で共通です。期間は、保険会社によって定めが異なります。まぁ、自殺することを前提として生命保険に加入する・・・という話は、このサイトでは扱いません。問答無用、自分で死んじゃダメです。
終身保険のデメリットは2点
終身保険に限らず、どんな商品でも欠点のない商品はありません。そんな魔法のようなものが存在するなら、みんな買いますw 欠点、デメリットだけの商品はもしかしたらあるかもしれませんが、それは詐欺であったり、インチキであったりするでしょう。終身保険は、ちゃんとメリットのある立派な商品ですが、欠点、デメリットだってあります。それでも、終身保険が、口コミで評判になったり、評価する記事があるのは何故でしょう。終身保険のデメリットが問題にならない、欠点を意識しないですむ使い方をすればいい、そういう使い方ができる、終身保険のよさがフィットするような人も、それなりにいるからでしょう。終身保険に限らず、口コミや評判を参考にする際は、「その人にとって」というプリフィックスは意識しておきましょう。口コミ、評判のいい悪いに限らず、自分にあうかどうかという点でみて欲しいと思います。これらを前提として終身保険のデメリット、欠点をこれから書いてみましょう。
ひとつは「流動性」です。これは終身保険に限りません。多くの金融商品には、流動性に欠けるものがあります。終身保険は、保険料の払い込みが終わる前に解約すると、返戻金を、とても低くしている商品も多くあります。終身保険の流動性の無さを大きな問題、欠点として考えることもできますし、流動性の必要なお金は、別に普通預金や定期預金で用意して、30年、この終身保険のお金は使わないという考え方もできるでしょう。30年使わないと決心できるお金であれば、終身保険以外にも、いろいろな選択肢もありますから、それらもあわせて比較、検討しましょう。要するに、20年、30年先を考えていくお金と考えるならば、流動性は大きな欠点、デメリットにならないということです。しかし、そういうことをする余裕もないのであれば、まずは、終身保険の前に、普通預金、定期預金など流動性のある商品にある程度の金額を用意しておくのが先かもしれません。
もうひとつは、「インフレ」です。終身保険は、保険金額が基本的に変動しない商品です。だから、長期の物価上昇(インフレ)の状態が続くなら、保険金や解約返戻金の価値そのものが減少してしまうというリスクはあります。これは普通の銀行の貯金でも、タンスの貯金でも、インフレによるリスクは同じことと言えるでしょう。ここはもう個人個人で判断・・・というか賭けをするしかないことなのかもしれません。
専門家と言われる人たちが、インフレだ、デフレだと様々予測をしています。言うだけ言って責任なんてとってくれないしw 10年後の経済状態の正解なんて、おそらく誰にもわからないでしょうし、それを正確に予想できる力があるならば、終身保険なんていりません。もっと積極的に投資をするべきでしょうw 日本のインフレリスクなども勘案して、運用を外貨建てで行う終身保険や、今まで書いたメリットを捨て、さらに高いリターンを目指す商品も出てきています。それはそれで違うリスクがありますから、次に、終身保険の新展開としてまとめましょう。
終身保険の新展開
終身保険を運用する保険会社は、保険料として集まった資金で、どう利益をだすかが大きな問題です。これがうまくいく時期は、予定利率が高くできますし、うまくいかないと予定利率は低くなります。返戻率が低くなって、終身保険の商品の魅力、貯蓄性が損なわれます。勿論、インフレのリスクにも脆弱な商品ということになります。
魅力のある終身保険という商品にしたいわけですから、いろんなことを考えてくれています。
例えば、保険料が有期払い、短期払いで、保険料払い込みの期間の解約返戻金を低く設定することで、毎月の保険料を抑えるということを行う商品があります。流動性のないというデメリットをさらに濃厚にしているわけです。流動性の必要なお金は別に考えることができる人には、そのデメリットはなく、プラスになる商品と言えるでしょう。
終身保険の予定利率は、最初に提示されるのですが、その予定利率を数年毎に見直しますと明言し、上昇した場合は保険金額を増加させますよ、と謳う商品などもあります。もしかしたらとっても増えるかもしれないという期待感を持たせてくれます。インフレによって、世の中のお金の動きが変われば、予定利率もアップする(と思われる)ので、ある程度インフレのリスクも軽減されるでしょう。
外貨によって運用する終身保険もあります。日本の低い金利では、大きなリターンが期待できないからです。もっともこれは金利はいいのでしょうが、今度は為替リスクという面が出てきます。
万能の誰にでも向いている商品はありません。でも、自分にあう商品はあるかもしれません。妥協も必要でしょうし、少しの冒険、リスクをとることも必要かもしれません。リスクは悪い時にどうなるか、それはしっかり考えておきましょう。許容できるか、立ち直れるかを考えず、うまくいくパターンだけを信じて行動はしないほうがいいと思います。
管理人の場合は、仕事がリスク一杯でw これ以上のリスクはご馳走様な気分でしたのでw それなりに・・・で留めてきましたw