IT保険の営業電話
管理人のいたIT会社は、入社時には3人ほどの会社だったが、退任する時には100人ほどになっていた。会社が拡大し業務が大きく伸びていく途上では、様々な営業マンの訪問を受けたのだが、その中にIT保険の営業マンもいた。何と言っても個人情報保護法の施行が迫っている時期が一番、IT保険の営業の電話が多くあった。またどこかの会社での漏えい事故があり、損害が出たというニュースが流れると電話が増えた。
IT保険の営業マンの中には、ほとんど脅しのような電話をしてくるのもあった。こちらが法律的に無知だろうとつけこんで危機感をあおることで契約をとろうとする類の営業だ。その類の営業電話は、返り討ちにした。こちらはIT保険についての知識はなくても、IT業務のリスクは、それなりにわかっている。個人情報の漏洩による損害にしても、そもそも漏洩して損害がでる情報があるのか、それをどう見積もっておくのかを踏まえて、IT保険の要否を判断するわけで、そういったことも言わず、ただただ個人情報保護法がきますよ、一流企業のXXさんが漏洩事故起こして、X億円の損害ですよだけ言うんじゃあ営業になってないと思うのだが。
まっとうなIT保険の営業もいますよ
ひどいIT保険の営業電話の話を冒頭にもってきたが、全部のIT保険の営業マンがそういうわけではないことは、彼らの中でも、真面目にやっている人の名誉のために明記しておく。じゃあ話を一度きいてやろうかと思った営業マンもいる。訪問を受けた営業マンは2人だけだが。
リスクについてはそれなりに理解し、効率よく対処しているつもりだったが、会社が成長している時期で、眼の届かない範囲も増えてきていた。自分なり、信頼できるスタッフが見える範囲だけではなくなってきたときには、やはり怖さを感じる。教育や育成が一番の根本なのだが、そうそう早く追いつくものじゃない。過度の成長は、質を下げることにもなる。とはいえ、拡大し、仕事をしてしまっている以上、止めるわけにもいかない。IT保険など他の方法で、リスクに備えることも、そろそろ必要じゃないかと思ってはいたのだ。でもIT保険の電話営業、バカが圧倒的に多かったんでねぇ・・・。
尚、訪問して下さった2人のIT保険の営業マンは、マトモな思考回路だった。ダメダこいつ・・・とか思うと、追い返してしまうんだけど、最後まで、ちゃんと説明してもらえた。
2つのIT保険について
さて、保険まっぷ のIT保険の記事としては、2つのIT保険の概要について書いておきたいと思う。ひとつは東京海上日動のIT業務賠償責任保険で、もうひとつAIUのシステム開発業者向けIT保険だ。おまけに、関東ITソフトウェア健康保険組合についても書いておく。
あくまでも管理人が理解した(理解できた)範囲での概要なので、正確なところは、それぞれのWEBで確認してほしい。また、そもそも保険料が、会社の売り上げなどで変わるので、営業マンと話をするのが基本的なことだと思う。このサイトでは概要の雰囲気だけでもお伝えできればいいと思う。
東京海上日動のIT業務賠償責任保険
東京海上日動と省略しているが、正式な屋号は東京海上日動火災保険株式会社である。なぜか火災を抜かして、東京海上日動とするのが慣習のようだ。
東京海上日動のIT業務賠償責任保険の補償は、主に二つの事項に大別できる。ひとつは、IT業務条項で、もうひとつはITユーザー条項だ
東京海上日動のIT業務賠償責任保険におけるIT業務条項は、IT業務を行う事業者が加入できる。東京海上日動のIT業務賠償責任保険におけるIT業務条項は、ソフトウェア開発、プログラム作成、情報処理サービス、情報提供サービス、ポータルサイト・サーバ運営、ASP アプリケーション・サービス・コンテンツ・プロバイダ、インターネット利用サポートなどの他、昔ながらの電気通信事業法が規定する電気通信業務が対象になる。
東京海上日動のIT業務賠償責任保険におけるはITユーザー条項だが、事業者自身のネットワークの所有、使用または管理、ネットワーク上におけるプログラムまたはデータの提供が該当する。
管理人が役員を務めていた会社の場合は、東京海上日動のIT業務賠償責任保険におけるIT業務条項に該当する。この業務を行うにあたって、法律上の損害賠償、賠償責任に関する訴訟費用・弁護士費用等の争訟費用、求償権の保全・行使等の損害防止軽減費用、事故発生時の応急手当等の緊急措置費用などが発生した場合に、補償されることになっている。勿論、それなりの制約や条件もある。支払前に協議が必要であったり、契約の時の免責であったり、支払いの上限金額なども設定される。
東京海上日動のIT業務賠償責任保険だけはないが、損害保険一般の不正な請求や、どうしょうない場合を除く条項もある。
契約者、被保険者の故意、戦争、変乱、暴動、労働争議、地震、噴火、洪水、津波、高潮、被保険者による窃盗、強盗、詐欺、横領または背任行為その他の犯罪行為。ただし、過失犯は除かれている。被保険者の法令違反、他人に損害を与えるべきことを認識していた行為、他人の身体の障害または財物の損壊、紛失、盗取もしくは詐取、特許権、商標権等の知的財産権の侵害などだ。
ただし、ネットワーク上で提供される電子データ、データベース、ソフトウェアまたはコンピュータプログラムによって生じた著作権の侵害は除かれている。これは、故意じゃなくてもやってしまう可能性があって、これまで免責にされると、IT保険の存在価値も随分減ってしまうように思う。
東京海上日動のIT業務賠償責任保険の保険料の算出は、IT業務の売上金額が一番のベースとなる。これに加えて、業務の内容から、どこまでの補償が必要かを踏まえて提案してもらうことになるので、東京海上日動のIT業務賠償責任保険の保険料はいくらである・・・とはここでは言えない。
AIUのシステム開発業者向け保険 ITビジネスガード
AIUと省略しているが、正式名称は、AIU保険会社(エイアイユー インシュアランス カンパニー)である。1946年にAIUコーポレーション日本支社を開設、1963年には、日本法人 AIU株式会社を設立している。
さて、AIUのシステム開発業者向け保険 ITビジネスガードだが、これも固い名称だと、業務過誤賠償責任保険普通保険約款 IT事業特約 ということになるようだ。読めば意味は分かるが馴染にくいのも事実だろう。
さて、ITを仕事にしている会社のリスクというのは、けっこうある。儲かりそうだと甘く見て参入すると、グダグダな目にあう。成長している分野だから、技術レベルが低くても、営業が優秀だと仕事がとれたりする。
システム開発、システム管理、ASP、SaaS、情報処理サービス、パッケージソフトウェアのカスタマイズなど、顧客のデーターを失ったり、システムを停止させれば、逸失利益まで含めた損害賠償請求の可能性はある。まあこれは、ITだけじゃなくて、どんな業種でも同じことなのだが。ITの経営層が、眼に見えないソフトウェアだからと甘く見ている人が多いだけのことで、顧客からお金をもらっている仕事には、責任やリスクがあるのは当然だ。他の業界と違うのは、業界として未成熟なために、リスクが、専門外の人にはイメージされにくいという点であろうか。
AIUのシステム開発業者向け保険 ITビジネスガードの基本プランは、業務過誤賠償責任保険普通保険約款 IT事業特約であり、これにオプションの特約がつくという形式を採用している。コンテンツ事業特約、知的財産特約、コンピューターアタック特約、請負人担保特約、派遣先業務担保特約などがある。自社の業務にあわせて特約をつけていくことになる。
免責や保険金が支払われないケースは、やはり東京海上日動の場合とほとんど一緒だ。悪いことはしちゃいけませんという当たり前の結論だが。
建設業界とITの保険
さて、IT業界で使われる言葉、単語には、建設、建築と同じイメージで使われる言葉がある。工期、人日、設計、瑕疵。
物理的な形が見えないから、リスクがイメージされにくいのだろうが、建築業界なら保険なしで工事なんかできないわけでw
労働災害保険に加入していない下請け業者なんか使った日には、元受、顧客からオミット、出入禁止になるわけで。まあそもそも法令違反なわけだが。
ITやインターネットは社会的なインフラになっているし、ますます依存度はあがるだろう。目に見えないソフトウェアの世界であっても、重要度はかなり大きく、従事する、生業にする会社、事業者には、社会的な責任も大きくかかってきていると思う。
まぁ、建築でも、手抜き工事とかいい加減なことをやつ会社もあるけどな、IT保険などを考える会社、担当者について、管理人は、まっとうな会社だと思うし、まっとうな技術者、担当者だと思う。実際に契約するかどうかは、業務の内容をよく検討しての結果だとは思うが、リスクを理解するためにも、説明はきいたほうがいいと思う。尚、直販ではなく代理店の場合が多いだろうから営業マンがダメだと思ったら、他の代理店を、ぜひ当サイトで見つけていただきたいw
関東ITソフトウェア健康保険組合
関東ITソフトウェア健康保険組合は、この保険まっぷの対象になっている保険商品を扱っているわけではなく、いわゆる社会保険といっていい。まあ社会保険をどこにするかなどということは、普通のサラリーマンが悩むことはない。会社が加入しているわけで、どこの保険に加入するかなど、通常の立場であれば考えないだろう。関東ITソフトウェア健康保険組合が、すごくいいという内容が書かれたメールがメルマガで流布したことがあるようだが、普通は・・・というか、当サイトで扱うIT保険とはあんまり関係ない。