わりかん保険?
わりかん保?が販売開始されたと聞いたとき、すぐに連想されたのは、飲み会などの会計に関係ある保険だろうか、だった。しかしワリカンをどう保障するのだろう、どういう保険なんだろうといろいろ想像、推測してみたが、どうにもわからない。結局、全然飲み会とは関係のない話だった。
ニュースだが、少額短期保険の株式会社justInCaseが、2020年の1月28日、日本初となる「P2P(peer-to-peer)保険」(以下、わりかん保険)を発売したというものだ。なんだぁ、という思いもあったが、よく見ると意外と面白い。保険というものの原点回帰のような話というと大げさだろうが、海運、船主の保障の仕掛けは、商船の航海で積み荷にかけられたものだ。船主は保険金という保障料を出し、無事に荷物が届けば、引受人達の収益になり、船が沈んで積み荷が失われれば、引受人がその補償をする。ロイドだと、その引受人は無限責任を負うということになっていた。万一に備えたい人がいて、そのリスクを引き受ける人達がいる。その意味で、昔の海運の保険と今回のわりかん保険は似たところがある。正直、書いていて、ちょっと強引な気もしないではないが。わりかん保険の契約者、加入者は、リスクに備えたい人でもあり、リスクを引き受ける人でもある。リスクを分担して備えるという意味でのワリカンという命名なのだろう。でも、この仕掛け、そんなに目新しいとは思わない。これって共済の理念そのものじゃないかと思う。共済という単語は、普段の生活で使わなくて内容がイメージできないから、けっこう多くの人が知っているであろう割り勘という単語をもって来たのだろうか。管理人などは、何だろうと違和感を感じつつ、内容を確認せずにはいられなかったし、関心を引くには、有効なネーミングなのかと思う。
ロイドを想起させるのは、保険料はあと払い。保険料は、契約者全体の保険金の合計金額を契約者数で割り、一定の管理費をプラスしたものをjustInCaseが月次で事後徴収する。ガンになる人が多ければ後払いの金額も大きくなる。
相互保険とか共済の、「お互いに助け合う」「リスクを分担する」という理念、概念は新しいものではない。昔からある。しかし、それが大きくなりすぎて、わかりにくくなっているのは否めない。自分の出した保険料が誰かのためになり、誰かの保険料で助けれられるなんて、実感することはないだろう。新たな販売ということだが、仕掛けは決して新しいものではないが、割り勘という言葉を使うことで、相互ほう助、共済という理念を身近に引き寄せて、わかりやすくしようという試みは、新たな取り組じゃないだろう。このあたりのチャレンジは、さすが、少額短期保険.会社だなぁと思う。
わりかん保険はパートナー企業からも販売されるが、アドバンスクリエイト、SBI日本少額短期保険、クラウドワークス、新生銀行、チューリッヒ少額短期保険株式会社、ディー・エヌ・エー、日本生命、LINE Financial、の8社だそうだ。